朝の一杯をいつものお店で買うのが日課になっている、そんなコーヒー好きも多いのではないでしょうか。カフェや喫茶店など、競争が過熱する飲食業界で、お店に繰り返し来てくれる「リピート顧客」を獲得するためには、優れたサービスだけでなく、さらにワンランク上の要素が必要になります。上質なコーヒーや美味しいスイーツに加えて、リピート顧客を対象とした「特典プログラム」を展開することで、お客様の再来店率をグッと上げ、リピーターを増やす効果が期待できます。
お店の贔屓客を増やすことには、主に二つのメリットがあります。新規のお客様の獲得にかかるコストよりも少ないコストで、既存のお客様の定着を図ることができること。そして、リピート顧客の方が、より多くの購入額が期待できることです。たとえば、Square ロイヤルティを導入したカフェでは、特典(ロイヤルティ)プログラムに登録しているお客様は、未登録のお客様に比べて購入額が1.67倍高いことが分かっています。
この記事では、これまでに特典プログラムを利用したことがあるお店にも、初めての導入を検討中のお店にも、コーヒー好きのお客様に魅力的な特典を提供して、リピート率を効果的にアップさせる特典プログラムの活用方法を紹介します。
目次
- ステップ1:特典プログラムの仕組みを決める
- ステップ2:リピート率の向上につながるような特典を選ぶ
- ステップ3:特典プログラム運用に役立つツールを選択する
- ステップ4:特典プログラムの宣伝を行う
- ステップ5:特典プログラムの成果を測定する
ステップ1:特典プログラムの仕組みを決める
まず、どんな特典プログラムを展開したいのかを考えましょう。特典プログラムの目的は、お客様の来店頻度を高めること、それとも客単価を伸ばすことでしょうか。目的がはっきりしたら、その目的にもとづいて、プログラムの仕組みを作っていきます。たとえば、お客様の来店頻度を高めることが目的なら、来店回数に応じて特典を獲得できるという仕組みを考えましょう。
そこで、特典プログラムでよく利用される仕組みを見てみましょう。
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「来店数に応じたプログラム」:来店ごとにポイントが貯まります。たとえば、「来店時に購入額が500円を上回ったら1ポイントを獲得」のように設定します。
メリット:来店数が多いお客様にメリットが多く、リピート率の向上が期待できる。
デメリット:すべての購入を同一に扱うため、高額を費やすお客様にとっては見返りが少ない。 -
「購入額に応じたプログラム」:合計購入額に応じてポイントが貯まります。たとえば、「購入額100円ごとに1ポイントを獲得」のように設定します。
メリット:高額購入のお客様に、より多くポイントを付与できる。
デメリット:来店回数は多いものの購入額が少ないお客様は、あまりポイントが貯まらない。 -
「購入商品に応じたプログラム」:特定の商品(または特定のカテゴリの商品)を購入するとポイントが貯まります。レギュラーコーヒーは1ポイント、焼き菓子は2ポイントというように、商品ごとにポイント数を変えて割り当てることもできます。
メリット:特定の商品の購買行動を促すことができる。
デメリット:メリットがあるのは指定商品を購入するお客様に限定され、常連であってもポイントがあまり貯まらない場合がある。
特典プログラムの仕組みを決めるときは、お客様の買い物パターンをよりよく理解できるよう、売上データ(来店頻度、購入額、人気商品、お客様ごとの平均購入額など)を必ず確認しましょう。ちなみに、特典プログラム利用者の70%が、途中でポイント集めをやめてしまうというデータがあります。特典を交換できるまで6カ月以上かかると、時間がかかりすぎると感じるお客様が多いことがわかります。つまり、特典獲得にかかる時間が長すぎると感じるお客様は、もっと手っ取り早くメリットが得られる他のカフェに移ってしまう、という可能性も考えられるのです。
Square ロイヤルティを利用する飲食業の80%以上が、「来店数に応じたプログラム」または「購入額に応じたプログラム」を採用しています。お店によってニーズは異なるので、プログラムの設定に100%正しい方法があるわけではありませんが、特典プログラムを作成するうえで心がけたい大切なポイントをいくつかご紹介します。
- お客様がすぐに理解でき、覚えやすいプログラムを作成する。
このプログラムがお客様にとってメリットのあるものだということが、すぐに伝わるように工夫しましょう。ややこしいルールは避け、なるべくシンプルで覚えやすいルールを設定することをおすすめします。 - 大半のお客様がポイントを獲得できるようにする。
最小購入額を設定する場合は、お客様ごとの平均購入額より少し低い金額に設定しましょう。これでほとんどのお客様が、ポイントを貯めることができます。 - お店の目標達成につながるようにする。
特典プログラムをやみくもに展開するのではなく、目標(例:来店数の向上、客単価アップなど)の達成につながるような特典プログラムを作成しましょう。
ステップ2:リピート率の向上につながるような特典を選ぶ
特典プログラムの仕組みが決まったら、お客様に提供する特典の内容を選びます。お客様にとって魅力的で、「またあのお店に行こう」と思ってもらえるような特典を選びましょう。ここでは、典型的な特典を3種類ご紹介します。
- お買い上げ額からディスカウント:合計の購入額に対して、任意の%(例:次回のご購入で10%オフ)または金額(例:次回のご購入で500円オフ)を割引します。
- 商品のディスカウント:特定の商品を対象に、任意の%または金額を割引にします(例:全ドリンクが200円オフ)。
- 無料で提供:特定の商品を無料で提供します(例:コーヒー1杯無料、コーヒー豆1袋無料)。
Square ロイヤルティを利用する飲食業の48%以上が、特典として「無料商品」を提供しています。ちなみにSquare ロイヤルティでは、ポイントが貯まって特典と交換できるようになったとき、毎回同じ特典を提供することも、特典のレベルを複数設定して、貯めたポイント数に応じて獲得できる特典を選べるようにすることも可能です。ここでは、複数の特典レベルを設定した場合の使用例を見てみましょう。
- レベル1(10ポイント):人気が高く、すぐに交換できる特典を用意します(例:コーヒー1杯無料など)。
- レベル2(25ポイント):少し時間がかかってもポイントを貯め続けたいというお客様には、よりお得な特典を用意します。(例:やや高額な焼き菓子、人気商品のディスカウントなど)。
- レベル3(50ポイント):このレベルまでじっくりとポイントを貯められるお客様は、真のお得意様です。購入総額のディスカウントなど、お客様が喜ぶような特典を用意しましょう。
特典を選ぶにあたって、いくつか注意点があります。一つ目は、特典を提供することで、極端に収益に影響が出ないようにすることです。そして二つ目は、お客様の購入意欲をかき立てる特典にすることです。特典プログラムを実際に展開する前に、お客様にアンケートやヒアリングを行って、どのような特典が一番喜ばれるのかを具体的に把握しておきましょう。
ステップ3:特典プログラム運用に役立つツールを選択する
従来の特典プログラムでは、紙のポイントカードが使用されていました。カードにポイントが貯まっていくのを見るのは楽しいものですが、お財布の中にポイントカードを何枚も入れたまま、ポイント獲得状況を正確に管理するのは、お客様にとってもお店側にとっても手間がかかり、効率がいいとは決していえません。
特典プログラムをうまく展開するには、なんといってもシンプルさが欠かせません。何回か通って無料のコーヒーやマフィンをゲットしたいだけなのに、クレジットカードの申し込みのような煩わしい手続きをお客様にお願いするのは理想的ではありません。興味深いデータとして、米国のロイヤルティプログラム利用者の53%が、特典プログラムに登録している理由を「利用しやすいから」だと答えています。「利用しやすさ」が重要なポイントなのだとすれば、特典プログラムは紙ベースではなく、デジタルで展開する方がずっと合理的だといえるでしょう。
たとえば、Square ロイヤルティは、無料のSquare POSレジと完全に連動しています。お会計のときに、お客様に電話番号を入力してもらうだけで、簡単に特典プログラムに登録でき、ポイントが自動的に貯まるようになります。来店時や購入時に、POSレジにスタッフが登録した電話番号を入力するとポイントを獲得でき、貯まったポイントは特典と簡単に交換できます。お客様が購入した内容やポイントなどの情報は、POSレジの顧客リストにすべて記録されるため、いつでもお客様の取引履歴をスムーズに確認できます。また、ポイント管理はすべてオンラインで行うので、カードをお財布に入れて持ち運ぶ必要もありません。
ステップ4:特典プログラムの宣伝を行う
特典プログラムを効果的に展開するには、何よりもまずお客様に登録・利用してもらうことが不可欠です。お店の自慢の商品をお客様に宣伝するのと同じように、特典プログラムについても積極的に紹介しましょう。
たとえば、お店のウェブサイトで特典プログラムについて紹介したり、SNSの投稿でプログラムを利用するお客様をタグ付けしたり、お客様宛てにメールを送信して特典プログラムへの登録を促すなど、さまざまな方法でプログラムへの参加を呼びかけましょう。
プログラムを宣伝する方法はたくさんありますが、店内での宣伝も忘れずに行いましょう。お店でコーヒーを購入するお客様に、特典プログラムへの参加をぜひおすすめしましょう。注文待ちの列に並んでいる間に目につきやすいよう、レジの近くに特典プログラムのポスターを貼ってみるのも効果的です。また、お会計の流れの一環として、お客様にプログラムへの登録をすすめるよう、レジ担当スタッフのトレーニングをすることもおすすめします。
ステップ5:特典プログラムの成果を測定する
さまざまな集客活動と同じく、特典プログラムを展開する際は、成果を定期的に測定できるようにしておくことが大切です。紙のポイントカードでは、プログラムの成果を数値化するだけでも大変ですが、デジタルでプログラムを展開しているなら、豊富なデータを活用してプログラムの成果をさまざまな角度から分析することができます。
Square ロイヤルティなら、プログラム登録者にかかわるあらゆる情報をSquare データで確認することができます。たとえば、お客様の購入額や来店頻度を、ロイヤルティ登録者と未登録者とで比較することができます。プログラム登録者の合計数はもちろん、来店頻度や顧客単価の移り変わりなど、特典プログラムの成果をスムーズに把握できます。
このデータを定期的にチェックして、プログラムが適切に設定されているか、期待する購買行動につながっているかを判断しましょう。それに加えて、引き続きアンケートやヒアリングなどの方法で、登録者にプログラムについての感想や要望を定期的に尋ねることをおすすめします。プログラムの成果に関するデータや、お客様の声を実際に確認しながら、さらに魅力的な特典をお客様に提供し、ビジネスの成長にもつなげられるよう、継続的に特典プログラムの改善に努めましょう。
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執筆は2023年1月12日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash