QRコード決済は、ここ数年で都市部を中心に導入店が増えている決済手段です。株式会社インフキュリオンが行っている「決済動向調査」によると、2021年4月の調査で、QRコード決済アプリの利用率は54%と半数を超えていることがわかります。このような状況に対応するため、店舗運営者としてはQRコード決済を導入したいところですが、気になるのは導入にかかる費用です。
参考:日本のキャッシュレス決済 ~電子マネー/QRコード決済の利用率・シェア[決済動向調査2021]~(インフキュリオン・インサイト)
ここでは、QRコード決済の仕組みや手数料、決済サービスごとの違いのほか、手数料を安く抑える方法を解説します。
目次
- QRコード決済の仕組みと普及状況
- QRコード決済の手数料
・初期費用
・決済手数料
・振込手数料 - QRコード決済事業者と手数料の比較
・PayPay
・d払い
・楽天ペイ
・au PAY
・メルペイ
・LINE Pay
・Alipay
・WeChat Pay - 手数料を抑える方法
・運用コストの低い決済サービスを選ぶ
・ユーザースキャン式を選ぶ
・決済代行会社を利用する事業者と直接契約を結ぶ
・キャンペーンを利用する
・指定の銀行を利用する - 運用コストがいくらかかるかしっかり確認しよう
QRコード決済の仕組みと普及状況
QRコード決済はバーコード決済とも呼ばれ、QRコードやバーコードを用いた決済方法です。現金が不要のキャッシュレス決済のためレジ処理が簡単なだけでなく、非接触で衛生的でもあります。
QRコード決済には、お客様のスマートフォンにインストールされている専用のアプリケーションが必要です。決済方法は2種類あり、お客様のスマートフォンに表示されたQRコードを店舗側の端末で読み込む「ストアスキャン式」と、店舗側で用意しているQRコードをお客様のスマートフォンで読み込む「ユーザースキャン式」があります。
日本におけるQRコード決済は、2018年頃から広がり始めました。たとえば、2018年10月に始まったQRコード決済サービス「PayPay」は、2019年8月に登録者数が1,000万人を突破しました。そして、同年11月に2,000万人を超え、2021年9月時点では登録者数が4,200万人となっています。また、登録者数の増加に伴い、加盟店数も2021年9月時点で344万箇所を超えるまでになっています。
参考:
・PayPay サービス開始から約10カ月で登録ユーザー数が1,000万人に到達!
・PayPay 登録ユーザー数が2,000万人を突破!
QRコード決済の手数料
消費者に広く受け入れられているQRコード決済ですが、店舗がQRコード決済を導入するためには、費用がかかります。導入にかかる費用としては、初期費用、決済手数料、振込手数料の主に三つです。それぞれ、どのような内容かを見ていきましょう。
初期費用
「入会金」のような初期費用は無料、または条件つきや期間限定の無料キャンペーンを行っている決済サービスが多いため、ほとんどの場合は必要ありません。また、機材の面でも、ユーザースキャン式は、店舗に設置するQRコードも無料で提供されます。しかし、ストアスキャン式の場合は、QRコードを読みとれるスマートフォンやタブレットなどの端末が必要です。決済サービスの中には専用の読み取り端末を用意している場合もあり、端末が無料か有料かはサービスによります。
なお、ストアスキャン式の場合は、Wi-Fiなどの通信環境が必要です。もし、通信環境がなければ導入費用が必要ですし、毎月の通信費用もかかります。
決済手数料
QRコード決済も、クレジットカード決済と同じように、商品などが売れて決済が行われた場合に決済手数料がかかります。決済手数料の割合は決済サービスによって異なり、無料のサービスもあれば、1%から3%程度かかるサービスもあります。
振込手数料
QRコード決済では、売り上げから決済手数料を引いた金額が登録した口座に振り込まれます。この振込の際に必要なのが、振込手数料です。振込手数料は、決済サービスが指定した金融機関の口座だと無料になることもありますが、基本的にランニングコストとして考えたほうがよいでしょう。
また、「指定口座以外を利用する」「通常サイクルより早い入金を希望する」などの場合、別途手数料がかかることもあります。
QRコード決済事業者と手数料の比較
QRコード決済サービスには多くの種類があるので、QRコード決済の導入にあたっては、利用者の利便性や店舗が負担する手数料などを考慮して、導入するサービスを選ぶのがおすすめです。ここでは、主なQRコード決済サービスの特徴について紹介します。
PayPay
PayPayは、2018年に行った大掛かりなキャッシュバックキャンペーンで注目を集めたQRコード決済サービスです。その後も毎月のようにキャンペーンなどを打ち出していますので、消費者への訴求が強いサービスといえるでしょう。
d払い
d払いは、NTTドコモが提供しているQRコード決済サービスです。d払いを使うと通常よりもdポイントを多く貯める「二重ドリ」ができるケースもあるため、d払いを選ぶ消費者もいます。
楽天ペイ
楽天ペイは、大手ショッピングモールの楽天が提供しているQRコード決済サービスです。楽天ポイントを貯められたり、交通系のICカードである「Suica」と連携できたりするサービスもあります。
au PAY
au PAYは、auが提供しているQRコード決済サービスです。通常の買い物でPontaポイントが貯まるほか、セブン-イレブンやローソンなどの対象店では、さらにポイントが貯まったり、クーポンがもらえたりなどのキャンペーンを行っています。
メルペイ
メルペイは、フリマアプリを提供しているメルカリのQRコード決済サービスです。メルカリを利用していれば、メルカリでの売上金をチャージできます。また、iD決済に対応しているので、利用範囲が広いのも特徴です。
LINE Pay
LINE Payは、メッセンジャーアプリを提供しているLINEのQRコード決済サービスです。通常の決済だけでなく、友人などにLINE Payで送金できるため、コミュニケーションツールの延長としても使えます。
Alipay
Alipayは、中国で多くの人が使っているQRコード決済サービスです。日本在住の人が対象の店舗ではそれほど必要ではありませんが、中国人観光客の利用が多い店舗では必須の決済手段といえます。
WeChat Pay
WeChat Payも、Alipayと同様に中国で使われているQRコード決済サービスです。こちらも、日本の消費者が主な店舗であれば、対応の必要はないでしょう。
PayPay | d払い | 楽天ペイ | au Pay | |
---|---|---|---|---|
事業者 | PayPay | NTTドコモ | 楽天 | KDDI |
登録者数 | 4,900万人 (2022年7月時点) |
3,943万人 (2021年9月時点) |
非公開 | 3,460万人 (2021年9月時点) |
初期費用 | 無料 ※1 | 無料 | 無料 | 無料 |
決済手数料 | 1.98% ※1 | 3.24% | 3.24%〜 ※2 | 2.6%(税別) |
振込手数料 | 無料 | 無料 | 無料 (楽天銀行の場合) |
無料 |
メルペイ | LINE Pay | Alipay | Wechat Pay | |
---|---|---|---|---|
事業者 | メルカリ | LINE | アリババ | テンセント |
登録者数 | 1,000万人以上 (2021年4月時点) |
5,670万人 (2020年12月時点) |
世界で12億人以上 (2019年6月時点) |
8億人以上 (2019年1月時点) |
初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
決済手数料 | 2.60% | 3.45%(税別) | 決済代行会社による | 決済代行会社による |
振込手数料 | 入金額が1万円以上の場合無料 入金額が1万円未満の場合200円(税込) |
無料 (規定の振込日の場合) |
決済代行会社による | 決済代行会社による |
※1 「PayPayマイストア制限プラン」を利用する場合
※2 支払い元が楽天カード以外のJCBの場合3.74%
手数料を抑える方法
QRコード決済にかかる手数料が増えると、それだけ利益が減ってしまいますので、できる限り安く抑えたいところです。手数料を抑えるには、下記のような方法があります。
運用コストの低い決済サービスを選ぶ
決済手数料が低く、振込手数料もかからない決済サービスを選べば、運用コストは低くなります。しかし、消費者にとって使い勝手の悪い決済サービスの場合、QRコード決済を導入するメリットが薄れます。ユーザー目線での利便性と運営コストの両方を検討して選びましょう。
ユーザースキャン式を選ぶ
初期費用を抑えるためには、店舗が提示するQRコードをお客様のスマートフォンで読み取って決済する「ユーザースキャン式」を選択する方法があります。ユーザースキャン式の場合、QRコード以外は機材などを用意する必要がありません。お客様のスマートフォンに表示されたQRコードを読み取って決済する「ストアスキャン式」に必要な読み取り用端末の購入などにかかる初期費用を抑えられます。
決済代行会社を利用する
決済代行会社は、QRコード決済の導入を希望する店舗とQRコード決済事業者のあいだに入り、サービスの選定や手続きの代行などを行ってくれる会社です。QRコード決済に加え、クレジットカード決済など多種の決済手段を一括で導入できます。QRコード決済事業者と直接契約をするよりも決済手数料が割高になる傾向がありますが、振込手数料といったその他の利用手数料を考慮すると、複数の決済事業者と契約をするより、決済代行会社1社に対して支払う方が包括的に見て安い場合があります。
たとえば、決済代行会社Squareの場合、クレジットカード・QRコード・電子マネーによる決済を導入することができます。手数料は決済手数料のみで、振込手数料や早期振込手数料、月額費といった固定費はかからず、お客様が利用した決済手段に関係なく売上代金は最短で翌営業日に振り込まれます。コストは決済手数料のみ、入金サイクルも一元化できる便利なサービスです。
キャンペーンを利用する
どのQRコード決済事業者も、期間や条件を満たせば決済手数料が安くなったり、初期費用が無料になったりするキャンペーンを行っています。このキャンペーンを利用すれば、決済手数料などを安くすることが可能です。
指定の銀行を利用する
振込口座をQRコード決済事業者指定の銀行にすれば、振込手数料が無料になる場合もあります。振込登録口座による優遇がないか、確認してみましょう。
運用コストがいくらかかるかしっかり確認しよう
QRコード決済事業者のウェブサイトでは、キャンペーンに合わせて「初期費用無料・手数料無料」でQRコード決済が導入できると紹介されていることもあります。しかし、キャンペーンが終わった後の通常の手数料を確認せずに導入すると、想定外に出費が多くなってしまうケースもあります。
QRコード決済の導入にあたっては、キャンペーンによるメリットだけでなく、キャンペーン期間以外に発生する手数料の違いをチェックしましょう。また、消費者の利便性と運用コストの両面からも検討してください。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
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執筆は2022年2月7日時点の情報を参照しています。2022年8月9日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash*