不便さを感じながらも、エクセルでの在庫管理から脱却できない人は少なくないでしょう。最近では、アナログで管理を続けるにはもったいないほど便利な在庫管理ツールがたくさん登場しています。そのうえ、無料で使えるものも多数あります。さまざまな作業を自動化できるため、コストをかけずに効率よく在庫管理をこなしたい場合には、無料ツールを積極的に検討したいものです。
この記事では無料の在庫管理ツールに焦点を当てていきます。さらに、無料ツールの注意点や有料ツールのほうがおすすめの場合などもあわせて見ていきましょう。
目次
- 無料で在庫管理をする方法
- 在庫管理ツール選びで押さえておきたいこと
- 無料の在庫管理ツール6つ
- 無料在庫管理ツールの注意点
- 在庫管理は無料と有料、どっちがおすすめ?
- Squareの在庫管理ツールを試してみよう
無料で在庫管理をする方法
無料で在庫を管理するには、
- 紙の在庫管理表
- エクセルシート
- 在庫管理ソフト
- クラウド型の在庫管理アプリ
- クラウド型POSレジアプリ
を活用することができます。上から順に見ていきましょう。
紙の在庫管理表
ノートなどに在庫管理表を作成し、在庫情報を記入し、確認する方法です。書き間違いや読み間違いなどのヒューマンエラーが起きやすく、商品数や店舗数が多いビジネスには不向きです。また、長期間保管するにはそれなりのスペースを要するうえ、書類の紛失リスクがあるなど、弱点の多い管理方法といえるでしょう。
エクセルシート
紙での管理を少しだけアップデートしたのが、エクセルシートでの管理です。数式などを組んでおけば手計算が不要なうえ、ペーパーレス化が実現する点では、紙を使った管理よりも優れているといえるでしょう。ただし、運用ルールが徹底されていないと入力ミスが起こりやすい点には注意が必要です。また、パソコンに何かしらの不具合が生じるとデータが消えてしまう可能性もあるので、バックアップをとっておく必要があるでしょう。
在庫管理ソフト
在庫管理ソフトとは在庫管理にまつわるさまざまな機能が詰まったツールで、基本的にはパソコンにインストールして使います。バーコードスキャナーに対応しているソフトなら、商品バーコードをスキャンすることで、特定の商品情報をひと目で確認できたり、入荷情報を登録できたりします。
ソフトによっては在庫管理のほかに顧客管理機能や納品書作成機能なども兼ね備えているため、エクセルシートでの管理に限界を感じたときに導入を検討する事業主も少なくないようです。
プログラムを公開しているソフトであれば、専門家の力を借りながら、カスタマイズすることも場合によっては可能です。
クラウド型の在庫管理アプリ
クラウド型在庫管理アプリでできることは、おおむね在庫管理ソフトと似ています。大きな違いはパソコンからだけでなく、スマートフォンなどからも使えるところでしょう。パソコンよりも簡単に持ち歩けるスマートフォンからアクセスできると、倉庫やレジ、店舗外など、あらゆる場所から在庫状況の確認・更新がしやすく、その便利さに驚く人も少ないないようです。端末に内蔵されたカメラでバーコードをスキャンできる画期的な機能を搭載したアプリもあるので、バーコードスキャナーを別途購入する必要もありません。
クラウド型POSレジアプリ
少し入り組んでいるように思えるかもしれませんが、在庫管理機能が含まれたクラウド型POSレジアプリを導入する手もあります。前述の在庫管理アプリは在庫に特化したアプリですが、クラウド型POSレジアプリには在庫管理機能はもちろん、POSレジや売上分析機能、請求書発行機能、従業員管理機能などビジネスのあらゆる側面を支える機能が含まれています。たとえばPOSレジアプリを使うと、登録した在庫は基本的にそのままPOSレジに反映されます。このように商品登録作業がいっきに楽になるのはPOSレジアプリを利用するメリットでしょう。
在庫管理ツール選びで押さえておきたいこと
在庫管理ツール(※)を導入する目的として、
※この記事でいう「在庫管理ツール」には、在庫管理ソフトとクラウド型在庫管理アプリ、在庫管理機能が使えるクラウドPOSレジアプリが含まれます。
- 業務効率を上げたい
- 在庫の適正化を図りたい
- 発注ミスを防ぎたい
を挙げる事業者が多いのではないでしょうか。こうした課題を解決するために押さえておきたいことがいくつかあります。
- バーコードを読み取る機能はあるか
- 在庫アラート機能はあるか
- 登録できる商品点数に制限はあるか
- 在庫管理と連携できる機能は充実しているか
バーコードを読み取る機能はあるか
バーコードスキャナーと接続できる、あるいは内蔵されたカメラでバーコードがスキャンできる機能の有無は、必ず確認しておきましょう。
たとえば、特定の商品の在庫状況を確認したいとき、レジや店内で商品のバーコードを読み取るだけで、該当する情報が表示されます。従来のように紙やパソコンの画面から商品情報を探す手間がなくなるので、ストレスがぐっと減るでしょう。
また、ビジネスによっては、バーコードのついていない商品を扱うこともあるかもしれません。このような場合には商品識別用バーコードを発行できる機能の有無を見ておくといいでしょう。
在庫アラート機能はあるか
在庫数が一定数を下回ると通知が届く機能のことを「在庫アラート機能」といいます。このような機能を活用すると在庫が底をついてしまう前に発注することができ、欠品による機会損失が防ぎやすくなります。残りの在庫数が何個になると在庫アラートが届くかは、商品ごとに設定できることが多いようです。
登録できる商品点数に制限はあるか
在庫管理ツールによっては無料プランだと商品登録数は50点までなど、制限が設けられていることがあります。導入後に気づくと在庫管理ツールをまたいちから探す羽目にもなりかねないので、この点は事前にチェックしておくといいでしょう。たとえばSquareなら、無料プランでも制限なしに商品を登録できます。
在庫管理と連携できる機能は充実しているか
在庫管理はもちろんのこと、取引先管理や注文書作成なども同じツールで行えるかは事前に確認しておきたい点です。特定の作業のためにほかのツールを探さなくて済むうえ、在庫にまつわる業務を1カ所で管理できるので、効率化につながります。
また在庫管理の一歩先まで視野を広げ、POSレジ機能も使えるアプリを導入すれば、POSへの商品登録作業にかける時間を抑えられ、さらなる業務効率化が期待できます。在庫管理アプリを単体で導入する場合でも他社のPOSレジと連携できる可能性があるので、確認しておくといいでしょう。
無料の在庫管理ツール6つ
上記を踏まえて、無料で利用できるクラウド型の在庫管理ツールを6つ見ていきましょう。
(1)Square
Squareでは充実した在庫管理機能が使える「Square リテールPOSレジアプリ」を無料で提供しています。有料プランもありますが、無料プランでも商品数に制限がなく、端末のカメラをスキャナーとして使えるバーコード読み取り機能や、在庫アラート機能などを使うことができます。
また、在庫に登録した商品情報がPOSレジにそのまま反映されるうえ、商品が売れるたびに自動で在庫数が調整されます。手入力で在庫数を更新する作業をまるごとなくすことができます。さらに商品別の売り上げも無料で確認できるので、各商品の売れ行きを見ながら仕入数量の調整をすることもできるでしょう。
バーコードを読み取る機能はある? | ○ |
在庫アラート機能はある? | ○ |
商品点数は無制限に登録できる? | ○ |
在庫管理以外の機能も使える? | ○ |
(2) Zoho Inventory
営業・マーケティング・会計・人事と幅広い分野でのサービスを提供しているZohoの在庫管理システムです。無料プランでは1倉庫のみの管理が可能で、月に受注管理できる注文数は50件までです。在庫管理に特化したツールでPOSレジとは連携できないようですが、Shopifyで作成したネットショップとは連携が可能です。
バーコードを読み取る機能はある? | ○ |
在庫アラート機能はある? | ○ |
商品点数は無制限に登録できる? | × |
在庫管理以外の機能も使える? | Zoho CRM とZoho Booksとの連携が可能 |
参考:料金 Zoho Inventory クラウド型在庫管理
(3)zaico
累計15万社以上が使用しているクラウド型在庫管理アプリ、zaico。無料プランだと最大200点までの商品登録が可能です。また市販のスキャナーを使って、商品バーコードを読み取れることができます。zaicoは在庫管理に特化したツールですが、SquareのPOSレジをはじめ、多数の外部アプリやシステムと連携することで、機能性を拡張させることが可能です。
バーコードを読み取る機能はある? | ○ |
在庫アラート機能はある? | ○ |
商品点数は無制限に登録できる? | × |
在庫管理以外の機能も使える? | 外部との連携が可能 |
(4)Tana
複数のメンバーで在庫状況を共有し合えることを目的に掲げたクラウド型在庫管理アプリです。「大学の研究室での資材の欠品を防ぎたい」というリアルな悩みをもとに開発されたアプリで、使い手に寄り添った機能性が期待できます。ユーザーは2人目から1人月々200円かかる従量課金制で、無料で利用できるのは1人までです。
バーコードを読み取る機能はある? | ○ |
在庫アラート機能はある? | 記載なし |
商品点数は無制限に登録できる? | 記載なし |
在庫管理以外の機能も使える? | × |
(5)LASK
パソコンにダウンロードし、サーバーにアップロードするだけで使える無料の在庫管理ソフトです。複数店舗の情報を管理できるほか、ネット上からリアルタイムで在庫状況の確認・更新ができるそうです。
バーコードを読み取る機能はある? | ○ |
在庫アラート機能はある? | 記載なし |
商品点数は無制限に登録できる? | 記載なし |
在庫管理以外の機能も使える? | × |
(6) SASO
開発用のコードを編集することで、使い勝手をカスタマイズできる在庫管理システムです。もちろんコードをいじらなくても、商品登録やカテゴリー別の分類、商品ラベルの印刷を設計当初のままに使うこともできます。まずはデモサイトから機能の使い心地を試してみるといいでしょう。
バーコードを読み取る機能はある? | ○ |
在庫アラート機能はある? | 記載なし |
商品点数は無制限に登録できる? | 記載なし |
在庫管理以外の機能も使える? | × |
無料在庫管理ツールの注意点
無料ツールには、以下の制限があることを念頭に置いておくといいでしょう。
機能を不十分に感じることも
ほとんどのツールには有料版があり、プランをアップグレードすることでさらに豊富な機能が使えるようになります。逆に言えば、無料プランだと使いたい機能が使えないという壁にぶつかることもあるかもしれません。
登録できる商品数に限りがある
無料プランだと登録できる商品点数に制限があるツールも少なくありません。
セキュリティー対策に不安を感じることも
社内ネットワークからしかアクセスできない在庫管理システムなら、セキュリティーは担保しやすいでしょう。一方で無料ツールに多いクラウド型のものだと、誰もがアクセスできるインターネット上に情報を保管するため、情報漏えいが発生する恐れやアカウントが乗っ取られてしまうリスクなどがあります。
セキュリティー対策に不安がある場合は2段階認証を設定しておく、バックアップをこまめにとっておくなどの措置を講じておくと安心です。
在庫管理は無料と有料、どっちがおすすめ?
具体的にどのようなビジネスに無料ツールは向いているのでしょうか。以下からどちらに当てはまるかを見てみましょう。
無料の在庫管理ツールが向いている場合
アナログな管理に負担を感じているが、在庫管理にコストをかけている余裕はない……という事業者にとって、無料ツールは試してみる価値があるでしょう。
また、ビジネスをはじめたばかり、あるいはこれからはじめる予定で、どのツールを使おうか迷っている事業主もいるかもしれません。高額なツールをいきなり導入する前に、まずはコストのかからないツールでニーズを満たせるかどうかを検討してみると、無料ツールで案外ことが足りることに気がつくかもしれません。ただし、基本的な機能しか使えない場合が多いことは覚えておきましょう。店舗数や倉庫数が多いビジネスよりも、1店舗や数店舗のみのビジネスに向いているでしょう。
導入を決める前にいくつか試しに利用し、比較してみるのが理想的です。
有料の在庫管理ツールが向いている場合
多数の店舗を展開しているようなビジネスの場合、業種に特化した機能を使いたい、カスタマイズしたいなどの場合は有料ツールがおすすめです。
有料ツールには数千円の月額利用料で使えるものから、開発に数百万円かかるものなど、多種多様な種類があるので、ニーズや予算を明確にしたうえで比較検討すると、相性のいいツールが見つけやすくなるでしょう。
Squareの在庫管理ツールを試してみよう
キャッシュレス決済サービスで知られるSquareですが、実はそれ以外にもたくさんのサービスを提供しています。在庫管理機能を備えたPOSレジアプリ「Square リテールPOSレジ」も、その一つです。「在庫管理ツール選びで押さえておきたいこと」の章で挙げた項目をすべて満たしているアプリです。
有料プランもありますが、まずは無料プランからはじめて、ビジネスを拡大するタイミングで有料プランへの切り替えるを検討してもいいかもしれません。
Square リテールPOSレジの導入方法と、詳しい機能を紹介します。
Square リテールPOSレジを導入するには
うれしいことに、Square リテールPOSレジの導入はとても簡単です。
(1) Squareの無料アカウントを作成する
(2) Square リテールPOSレジアプリをお手持ちの端末(※)にダウンロードする
※Square リテールPOSレジアプリは、iOS 14以降を搭載のiPadおよびiPhoneに対応しています。
おおまかには以上の2ステップだけです。またSquareの決済端末(Square ターミナル)を利用している場合は、端末上でも使うことができます。
無料プランと有料プランの違い
Square リテールPOSレジアプリの料金プランは以下の通りです。
- フリー……無料
- プラス……月々6,000円(税込)/店舗
「無料で十分だろうか?」という疑問がまず浮かぶでしょう。無料プランと有料プランの機能を見比べてみましょう。
フリー | プラス | |
無制限の商品登録 | ○ | ○ |
端末のカメラでバーコードをスキャン | ○ | ○ |
複数店舗の在庫管理 | ○(最大200店舗/アカウント) | ○(最大200店舗/アカウント) |
在庫アラート | ○ | ○ |
商品検索 | ○ | ○ |
バーコードの読み取りから商品を自動登録 | ○ | ○ |
SKUの自動生成 | ○ | ○ |
店舗間での返品 | × | ○ |
在庫予測 | × | ○ |
自動注文書作成 | × | ○ |
在庫調整履歴 | × | ○ |
取引先管理 | × | ○ |
無料プランでもたくさんの機能が使えることが分かります。さらに複数店舗で利用できるのはコスト面で助かることかもしれません。
有料プランを選ぶと、より多くの作業を自動化できるので、さらなる業務効率化に取り組めます。たとえば売れ行きを分析しながら仕入れのタイミングを予測する「在庫予測」や、「追加注文する」というボタンをクリックするだけで注文書が作成できる機能などを活用すると、日々の業務が一層さくさくと進むでしょう。
以下のページには詳しい比較表があるので、あわせて参考にしてみてください。
▶️ Square リテールPOSレジ(フリー、プラス)とSquare POSレジの料金・機能を比較する
最後に、在庫管理機能を含むSquare リテールPOSレジを使いはじめると以下の機能もあわせて利用できるので、一石二鳥です。
- POSレジ
- 売上分析
- ネットショップ作成
- 従業員管理
- クラウド請求書の発行
- 会計アプリとの連携
など
詳しくはSquare リテールPOSレジのページからも確認することができます。
この記事ではエクセルシートや紙での管理から脱却する方法として、無料在庫管理ツールについて説明してきました。さまざまな無料ツールが登場しており、導入のハードルも低く、その利便性は侮れません。有料ツールのほうが機能も豊富で何かと便利なのでは……と思いがちですが、無料ツールに目を向けてみるとそれだけでもニーズが案外満たせることに気がつくかもしれません。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2023年6月7日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
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