ネットショップでの販売に必要な許可とは。届出先から申請方法までをご紹介

「店舗で販売しているチーズケーキの注文をオンラインでも受けられるようにしたい」「店舗はないけれど、さまざまな料理に合う万能調味料をオンラインで販売してみたい」など、オンラインショップをはじめる経緯や売りたい商品は、人によってさまざまでしょう。

オンラインショップの開設にあたり予算や用途に合うECサービスを見つけて、商品画像や値段、そのほかの細かい設定などを登録したところで、いざ開設!と踏み切る前に、必ず確認しておかなければいけないのは、販売に許可の取得が必要かどうかです。無許可で販売をした場合、重い罰則が科される可能性があるので、開設前にしっかりと確認しておきたいところです。

この記事では商品の種類別に、どのような許可が必要になるのかを見ていきます。また、特定商取引法により、ネットショップに必ず記載しなければいけない事項についてもよく確認しておきましょう。

  1. 中古品を販売したい
  2. 食品を販売したい
  3. 酒類を販売したい
  4. 化粧品を販売したい
  5. 忘れずに記載しよう!ネットショップの必要表示事項

商品別で見る、許可が必要なケース

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中古品を販売したい

「昔のレコードプレーヤーを集めてネットで販売する」「さまざまな年代のカメラを取り揃えたオンラインショップをはじめたい」など、オンラインで中古品を販売する際には、古物商許可の取得が必要です。許可を取得する前に、まず何が古物として扱われるのかを理解しておく必要があります。基本的には以下の商品が古物として扱われています。

  • 一度でも使用されたことのある商品
  • 未使用だけれど、一度でも自分以外の消費者の手に渡ったことのある商品
  • 上記に修繕など、本来の用途に変化がない程度に手を加えた商品

ただし上記に当てはまる場合にも、以下の場合は、許可の取得は不要と考えられます。

  • 転売を目的とせずに自分用に購入した商品
  • 無償で手に入れた商品
    など

古物として定められる商品は、「美術品類」「衣類」「時計・宝石品類」「書籍」「写真機類」などを含む全13品目に分類されています。詳しい内容は古物営業法施行規則の第二条に記されているので、あらかじめに確認しておきましょう。

許可証の交付には許可申請書の提出はもちろんのこと、住民票の写しや身分証明書など、複数の添付書類が必要となります。揃えなければいけない書類は個人と法人では異なるので、管轄の警察署に確認しておきましょう。

古物商許可に関する詳しい内容を以下の表にまとめています。

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手続きには多少時間がかかるため、できるだけ早い段階で申請手続きをはじめましょう。また、無許可で販売していることが発覚すれば、古物営業法違反として3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されてしまうので、許可証が交付されるまで辛抱強く待ってから販売を開始しましょう。

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食品を販売したい

日本では、食品が安全に提供されるよう「食品衛生法」という法律が定められています。そのため、健康被害が起こる可能性の高い食品を提供していたり、危険性は低くても多くの利用者がいる飲食業を営んでいたりする場合は営業許可の取得が必要とされます。

食肉や魚介類の製造や販売はもちろんのこと、お菓子やパン、乳製品の製造など、営業許可が必要とする業種は全部で34業種あり、詳しい内容は厚生労働省の資料に開示されています。販売する食品ごとに営業許可の内容や許可申請に伴う手数料などは異なります。

実店舗はなくオンラインのみで販売をする場合、

  • 食品を保管する場所
  • 食品を作る場所

の両方に営業許可が必要とされます。許可を取得していないことが発覚すれば食品衛生法の違反として2年以下の懲役、または200万円以下の罰金が科されてしまうので十分に注意しましょう。

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詳しい内容は食品営業はじめてナビにも記されています。

東京都福祉保健局ではさまざまな状況を想定して、食品を販売する際に必要となる手続きを「食品営業はじめてナビ」で説明しています。参考にしてみるといいかもしれません。

輸入食品を販売する場合

上記では、国内で製造された食品を販売する際に必要な許可について説明しました。扱う食品が輸入食品の場合、流れが少し異なるので注意が必要です。理由として、国内と海外での食品における基準値の違いが挙げられます。日本の基準値を満たしているかを確認するためにも、輸入をするたびに検疫所に輸入の届出を出すのが一般的な流れとなります。関係書類も忘れずに用意し提出しましょう。

検疫所では「有害物質は含まれていないか」「添加物の使用基準を満たしているか」などを確認する審査が行われ、通過すると、食品等輸入届出済証が交付されます。

交付後は、食品表示法に対応しましょう。国内の消費者が食品の内容をしっかりと理解できるよう、食品の詳細を日本語で表示する、というものです。表示義務については内閣府のウェブサイトでも説明がされています。

輸入食品販売における手続きの詳細は、以下の表にまとめています。

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参考:初めて輸入される方からのよくある質問(Q&A)(大阪検疫所食品監視課)

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酒類を販売したい

通常酒屋などで酒類を販売する場合、扱うお酒に制限はありません。一方でオンラインショップで酒類を販売する場合、要件を満たす酒のみの取り扱いとなるので注意が必要です。したがって、必要となる免許も異なります。実店舗では「一般酒類小売業販売免許」が必要なのに対して、オンラインでは「通信販売酒類小売業免許」が必要となります。

まずはオンラインで販売したいお酒が、以下の点を満たしているかを確認してみましょう。

(1)以下の条件を満たす国産酒類である

  • (a)直近の会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量が全て3,000キロリットル未満である酒類製造者(特定製造者という)が製造販売している酒類
  • (b)特定製造者以外の製造者に製造を委託しており、製造委託者の所在地の地方特産品を原料とした酒類であること

(2)輸入酒類である(輸入酒類に関しては条件はなし)

参考:通信販売酒類小売業免許申請の手引き(7頁目、税務署)

つまりオンラインショップで扱えるのは地酒と輸入酒で、いわゆる大手メーカーの酒類を取り扱うことはできません。また、国産酒を扱う場合には、蔵元の「課税移出高証明書」を提出し、上記の条件を満たしていることを証明する必要があります。そのため扱う酒類の品目も含めて、蔵元と取引交渉を行なってから免許の取得に進むのが基本的な流れです。

添付書類の準備など、許可申請に漕ぎ着くまで時間がかかる「通信販売酒類小売業免許」ですが、無免許で販売していることが発覚すれば、酒税法の違反として1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられてしまいます。しっかりと免許を取得したうえで、販売を開始しましょう。

補足として、以下の場合、通信販売酒類小売業免許の取得は必要ありません。

  • 1つの都道府県に向けて販売をする場合
    (この場合は「一般酒類小売業販売免許」の取得が必要となります)
  • インターネットオークションに出すなど、継続的に販売する予定がない場合
    (ご自身で購入した、あるいは他人に譲り受けて、自宅で不要となった酒類)

参考:お酒に関するQ&A【販売業免許関係】(国税庁)

通信販売酒類小売業免許の詳しい内容は以下の表にまとめています。

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添付書類など、申請に関する詳しい情報は税務署に直接確認、または通信販売酒類小売業免許の手引きを参照ください。

許可が交付されオンラインショップを開設する際には、トラブルを防ぐためにも以下二つを忘れずに明記しましょう。

  • 「法律で禁止されているため、満20歳未満にはお酒の販売はできません」などの文言
  • 特定商取引法に基づく表記

オンラインショップでは購入者の顔が見えない分、年齢確認をしなければ注文を確定できない仕組みを整えておくことが望ましいでしょう。

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化粧品を販売したい

「国内ではあまり知られていないコスメブランドを輸入して販売したい」など、美容アイテムを集めたオンラインショップを開こう、と考えている人もいるかもしれません。表示や中身に一切手を加えず、国内から仕入れた商品を販売するのであれば、許可の取得は不要です。

ただし「有害物質を一切含まないオーガニックな歯磨き粉を作る」など、自分で一から製造に携わり販売まで行う場合には、以下二つの許可が必要となります。

  • 化粧品製造販売業許可(販売するための許可)
  • 化粧品製造業許可(製造するための許可)

海外の化粧品を輸入して販売する場合にも上記が必要となりますが、製品の「包装・表示・保管」を他社が行う場合は、化粧品製造業許可の取得は必要ありません。

どちらの許可を取得する場合にも、要件を満たす必要があります。詳しい要件については宮城県公式ウェブサイトにある「化粧品を初めて製造・製造販売する方へ」を参考にしてみましょう。

参考:
化粧品の製造販売・製造(輸入を含む)を始める(広島県庁)
化粧品製造販売開始前に(東京都健康安全研究センター)

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忘れずに記載しよう!ネットショップの必要表示事項

ネットショップで買い物をする際には、実店舗で買い物をするように実際に商品を手に取ることができません。そのため、消費者はネットショップにある情報を基に、買う・買わないの判断を下します。肝心の情報が不足していると「想像していたものと違った」などを理由に返品が行われたり、「いつ届くかわからない」などとお客様を心配させてしまったりする可能性があります。消費者とのトラブルをできる限り最小限に抑えるためには、商品にまつわる情報を詳しく提供することが鍵となります。

このようなトラブルから消費者を守るために、ネットショップに必ず記載しなければいけない情報が、特定商取引法第11条で定められています。

利用しているECサービスによってはスペースが限られているなど、全ての情報を入れ込むのが難しいことがあるかもしれません。なかには省略してもいい情報もあります。ただし、情報を省略するには、消費者が情報を要求したときに、迅速に情報を提供することが条件になります。条件を満たすことで省略できる情報、いかなる場合も記載が必要な情報については以下の表からご確認ください。

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そのほか通信販売において守らなければいけないことは特定商取引法ガイドに詳しく記載がされているので、しっかりと目を通しておきましょう。

また、特定商取引法の改正に伴い、2022年6月1日より、ECサイトやネットショップなどではお客様が注文を確定する前の画面において、下記の6項目について簡単に確認できるように表示することが求められています。加えて、期間を限定して販売する商品に関しては、商品名にも申込期間の記載が必要です。
(1)分量(商品の数量など)
(2)販売価格・対価(定期購入の場合は2回目以降の価格も表示)
(3)支払い時期・方法(定期購入の場合は各回の請求時期も表示)
(4)引渡・提供時期(定期購入の場合は次回分の発送時期も表示)
(5)申込の撤回・解除について
(6)申込期間(期間限定販売の場合)

参考:令和3年特定商取引法・預託法の改正について(消費者庁)

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この記事では、

  • 中古品
  • 食品
  • 酒類
  • 化粧品

のオンライン販売時に必要な許可を見てきました。店舗を経営していて特定の商品に関する販売許可をすでに取得している場合、オンラインショップでも同じ許可が使えるかも……という考えが頭をよぎるかもしれませんが、実は販売所ごとに許可が必要だったり、場合によっては全く違う許可を取得しなければいけなったりすることがあります。

さらに許可の取得には、「通信販売酒類小売業免許」のように、長くて2カ月ほどかかるものもあります。すぐにでもオンラインショップを立ち上げたいという場合には、(1)どのような商品を扱うのか、(2)どのような許可が必要で、どのような書類を用意しなければいけないのかを明確にし、早急に許可申請に着手することが、オンラインショップのオープン日を早める鍵となるでしょう。


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執筆は2020年8月6日時点の情報を参照しています。2022年5月26日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash