多額の予算を割いて、専門家にネットショップ制作を依頼する時代も、いまや昔。最近では初期費用や維持費をかけずネットショップを開設できるサービスも増えており、低コストで気軽にネットショップをはじめられるようになりました。
しかし、ネットショップの売り上げの全額が、収入として手元に入るとは限りません。売上額からは、決済手数料、振込手数料や販売手数料など、さまざまな手数料が差し引かれます。どの手数料も数百円程度かもしれませんが、売上額によっては、年間で計算すると数十万円以上にもなる可能性があります。売上額から差し引かれるコストをできるだけ少額に抑えられるよう、この記事ではネットショップ作成サービス検討時に、注目したい手数料について説明していきます。
目次
- ネットショップの手数料と注意点
・決済手数料
・販売手数料・サービス利用料
・振込手数料
・早期入金にかかる追加費用 - 手数料でネットショップサービスを比較しよう
・年間の売り上げが60万円の場合
・年間の売り上げが300万円の場合
・年間の売り上げが1,200万円の場合
ネットショップの手数料と注意点
決済手数料
手数料、と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、決済手数料かもしれません。決済手数料とは、クレジットカード決済、キャリア決済などの決済手段を利用する際、決済代行業者もしくはネットショップ作成サービスに支払う手数料のことを指しています。
決済手数料は、決済方法に関わらず「一律」のサービスと、決済方法ごとに手数料率が異なるサービスの二つに分かれます。
一律の場合……
例:クレジットカード、後払い決済、キャリア決済、全て一律3.6%、など
決済方法ごとに手数料率が異なる場合……
例:クレジットカード決済は3.4%、ネット銀行の場合は取引ごとに78円、など
決済方法によっては、月々に固定費がかかったり、決済額が大きければ大きいほど手数料が増えたりなど、予想以上の費用がかかってしまうことがあります。「あまり多くの費用をかけたくない」という場合、サービスごとの決済手数料率はもちろんのこと、決済方法ごとの手数料率も押さえておきたい点です。以下の表では、代表的なネットショップ作成サービスの決済手数料を比較しています。
Square オンラインビジネス | BASE | STORES | カラーミーショップ | |
決済手数料 | 無料プラン、プラスプラン:3.6% | スタンダードプラン:3.6%+40円 | フリープラン:5% | フリープラン:6.6%+30円 |
※詳しくはこちらからご確認ください。
販売手数料・サービス利用料
モール型ECサイトなどにはつきものの、販売手数料。モールによっては5%を超えるものもあり、あまり安いものではありません。一方、ネットショップ作成サービスでは、販売手数料がタダ、もしくはモール型ECサイトに比べて手数料率が安く設定されていることが多いようです。
ただし、販売手数料は無料でも、注文ごとにサービス利用料が発生することもあります。「できるだけ売上額は手元に残しておきたい!」という場合は、サービス利用料の有無も確認しておきたいところです。以下の表では、ネットショップ作成サービスごとに販売手数料とサービス利用料を比較しています。
Square オンラインビジネス | BASE | STORES | カラーミーショップ | |
販売手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
サービス利用料 | 無料 | 3% | 無料 | 無料 |
振込手数料
売上額の入金時に発生する振込手数料も、注目したい費用の一つです。振込手数料は、無料、あるいは入金額問わず、一律で発生するサービスが多いようです。
また、一定の金額に満たない状態で入金を希望した場合、事務手数料が発生するサービスもあります。ネットショップで扱う商品の単価が低い場合、ビジネスが軌道に乗るまでは、事務手数料が差し引かれてしまう可能性があることを留意しておきましょう。
以下表では、ネットショップ作成サービスごとの振込手数料と事務手数料を比較しています。
Square オンラインビジネス | BASE | STORES | カラーミーショップ | |
振込手数料 | 無料 | 一律250円 | 一律275円 | 無料 |
事務手数料 | 無料 | 振込金額が2万円以下の場合:500円 振込金額が2万円以上の場合:0円 |
振込金額が1万円未満の場合:275円 振込金額が1万円以上の場合:0円 |
無料 |
早期入金にかかる追加費用
ネットショップ作成サービスの多くは月1回ほどの入金サイクルを採用していますが、このスケジュールだと、手元の資金が不足してしまうことも考えられます。
早期入金オプションを備えたネットショップ作成サービスであれば、追加費用を支払うことで、通常の入金サイクルよりも早く売上額を振り込んでもらうことができます。たとえば通常月1回振り込まれる売上額を、翌日に振り込んでもらえる、といったオプションです。
ネットショップ作成サービスを検討する際には、以下を押さえておくと資金繰りにも安心でしょう。
- 通常の入金サイクル
- 早期入金オプションの有無
- 早期入金オプションにかかる費用
たとえばSquareでネットショップを開設すると、売上額は最短翌営業日に振り込まれます。入金日まで日数が空かないため、早期入金のために追加費用を支払う必要はありません。振込手数料は無料。このように、入金サイクルが早いサービスを選んでおくのも、コスト節約になります。ネットショップ作成サービスごとの入金サイクルと、早期オプションにかかる費用を以下の表で見てみましょう。
Square オンラインビジネス | BASE | STORES | カラーミーショップ(※1) | |
入金サイクル | 登録している口座が三井住友銀行・みずほ銀行の場合:最短翌営業日 その他の銀行口座を登録の場合:毎週水曜日締め、同週の金曜日振込 |
振込申請日から10営業日(土日祝除く) | 月末締め、翌月末支払い | 月末締め、翌々月20日支払い |
早期入金オプションの有無 | なし | あり 「お急ぎ振込」で翌営業日入金が可能 ※別途審査が必要 |
あり 「スピードキャッシュ」で翌営業日入金が可能 ※別途利用条件あり |
あり 「早期入金サービス」で当月末締め翌月15日支払いが可能 ※別途審査が必要 |
早期入金オプションの追加費用 | なし | 振込申請金額の1.5% | フリープランの場合:振込金額の3.5% スタンダードプランの場合:振込金額の1.5% |
個人の場合: 月額費用300円+決済金額の0.5% 法人の場合: 月額費用2,000円+決済金額の0.5% |
※1.カラーミーペイメントを利用した場合
手数料でネットショップサービスを比較しよう
売上額から差し引かれる手数料は、実際、どれほどの額になるのでしょうか。年間で発生する手数料を見てみましょう。
年間の売り上げが60万円の場合
Square オンラインビジネス | BASE | STORES | |
決済手数料 | 3.6% 21,600円 |
3.6%+40円(※1) 25,600円 |
5% 30,000円 |
月額利用料 | なし | なし | なし |
サービス手数料 | なし | サービス利用料として3% 18,000円 |
なし |
振込手数料 | なし | 一律250円 3,000円(12回分) |
一律275円 3,300円(12回分) |
翌日振込手数料 | なし(※2) | 1.5% 9,000円 |
3.5% 21,000円 |
手数料合計 | 21,600円 | 55,600円 | 54,300円 |
手元に残る金額 | 578,400円 | 544,400円 | 545,700円 |
※1.:100回の取引があったことを前提にしています
※2.:Squareアカウントに三井住友銀行またはみずほ銀行の口座を登録している必要があります。0:00 から23:59 までの決済分が、決済日の翌営業日に振り込まれます
月間の売り上げが5万円、年間の売り上げが60万円のショップAを例に、手数料の年間合計額と、手元に残る金額を計算しています。全てのサービスで、無料プランを利用しています。
サービスによっては、売上額の10%近くが手数料として差し引かれています。Squareで差し引かれる手数料は、決済手数料の3.6%のみです。
※詳しくはこちらからご確認ください。
年間の売上が300万円の場合
Square オンラインビジネス | BASE | STORES | |
決済手数料 | 3.6% 108,000円 |
2.9% 87,000円 |
3.6% 108,000円 |
月額利用料 | 3,375円 年額:40,500円 |
5,980円 年額:71,760 |
2,980円 年額:35,760円 |
サービス手数料 | なし | なし | なし |
振込手数料 | なし | 一律250円 3,000円(12回分) |
一律275円 3,300円(12回分) |
翌日振込手数料 | なし(※2) | 1.5% 45,000円 |
1.5% 45,000円 |
手数料合計 | 148,500円 | 206,760円 | 192,060円 |
手元に残る金額 | 2,851,500円 | 2,793,240円 | 2,807,940円 |
※1:毎月1回、年間12回の振り込みがあることを前提にしています
※2:Squareアカウントに三井住友銀行またはみずほ銀行の口座を登録している必要があります。0:00 から23:59 までの決済分が、決済日の翌営業日に振り込まれます
上記の表では、月間の売り上げが25万円、年間の売り上げが300万円のショップBを例に、手元に残る金額を計算しています。
ショップBが利用しているのは以下のプランです。
BASE:5,980円/月の有料プラン
STORES:2,980円/月の有料プラン
Square オンラインビジネス:3,375円/月の有料プラン(※)
どれも有料プランを利用していますが、Squareと他社では手元に残る金額に5万円以上の開きがあることがわかります。
※年間契約の場合のプラン価格です。Square オンラインビジネスの料金プランについて詳しくはこちら。
年間の売上が1,200万円の場合
最後に、年間売り上げが1,200万円のショップCの例を見てみましょう。
ショップCが利用しているのは以下のプランです。
BASE:5,980円/月の有料無料プラン
STORES:2,980円/月の有料プラン
Square オンラインビジネス:9,180円/月の有料プラン(※)
※決済手数料率が3.6%から3.3%になる有料プランです。また、プランの価格は年間契約をした場合のものです。Square オンラインビジネスの料金プランについて詳しくはこちら。
Square オンラインビジネス | BASE | STORES | |
決済手数料 | 3.3% 396,000円 |
2.9% 348,000円 |
3.6% 432,000円 |
月額利用料 | 9,180円 年額:110,160円 |
5,980円 年額:71,760 |
2,980円 年額:35,760円 |
サービス手数料 | なし | なし | なし |
振込手数料 | なし | 一律250円 3,000円(12回分) |
一律275円 3,300円(12回分) |
翌日振込手数料 | なし(※2) | 1.5% 180,000円 |
1.5% 180,000円 |
手数料合計 | 506,160円 | 602,760円 | 651,060円 |
手元に残る金額 | 11,493,840円 | 11,397,240円 | 11,348,940円 |
※1:毎月1回、年間12回の振り込みがあることを前提にしています
※2:Squareアカウントに三井住友銀行またはみずほ銀行の口座を登録している必要があります。0:00 から23:59 までの決済分が、決済日の翌営業日に振り込まれます
Squareなら、月々9,180円のプレミアムプランを利用しているにもかかわらず、他社に比べて手数料が10万円程度安くなることがわかります。
「ネットショップを開設したい、でも、あまり予算は割きたくない……」という場合、最初に目がいくのは、月額費用かもしれません。しかし、できる限り手元に売上額を残したい場合は、数万円から数十万円の差が出る「各種手数料」の確認が欠かせないことが、この記事を通してわかりました。機能の多様さ、サイトの作りやすさ、デザインの柔軟性など、ネットショップ作成サービスに求める点はビジネスごとで異なりますが、記事で紹介した費用を踏まえたうえで取捨選択していくことも大切だといえるでしょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2020年11月20日時点の情報を参照しています。2023年4月28日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash