ネットショップの開業を考えている人の中には、「商品をどこから仕入れたらいいのかわからない」「どんな商品を扱うかまだ決めていない」という人もいるかもしれません。後者の場合、たくさんある仕入れ先から「これが売りたい!」と思う商品を探してみるのも一つの方法です。
この記事では、ネットショップの開設を検討している人に向けて、四つの仕入れ方法、販売許可の取得が必要な品目について解説します。また、個人でも使える仕入れサイトについて、利用する際の注意点やおすすめの仕入れサイトを紹介します。
目次
- ネットショップの仕入れ方法
・問屋・卸売店から仕入れる
・仕入れサイトを利用する
・見本市に参加する
・オークションサイトを利用する - 忘れてはいけない販売許可の取得
・中古品
・輸入品
・酒類 - 仕入れサイトを利用する際の注意点
- 個人で使える仕入れサイト
・国内の仕入れサイト
-卸問屋.com
-商材王
-SUPER DELIVERY(スーパーデリバリー)
-TopSeller(トップセラー)
-NETSEA(ネッシー)
-マルモトネット
-TEN TO TEN (テントテン)
-ザッカネット
・海外の仕入れサイト
-Alibaba(アリババ)/AliExpress(アリエクスプレス)
-Cmall(シーモール)
-淘宝網(タオバオ)
ネットショップの仕入れ方法
仕入れ方法には、以下の四つが挙げられます。
1、問屋・卸売店から仕入れる
2、仕入れサイトを利用する
3、見本市に参加する
4、オークションサイトを利用する
それぞれの仕入れ方法について詳しく見ていきましょう。
問屋・卸売店から仕入れる
問屋や卸売店を介して商材を仕入れる方法には、
- 問屋街に出かける
- 問屋(仕入れ)サイトを利用する
の二つがあります。
問屋街には、繊維を中心にさまざまな問屋が同居する大阪の船場センタービルや、食器や調理器具を中心に扱う東京のかっぱ橋道具街などが挙げられます。店舗の中には独自の販売ルールを設けている場合もあるので、事前に調べてから出向くのが無難でしょう。
問屋サイトは、法人もしくは個人事業主による利用を前提に会員登録が必要なところが多いです。入会条件として、実店舗やネットショップがあるなどビジネスの存在を確認できることを挙げるところも少なくないようなので、ネットショップの開設は早い段階で進めておきましょう。Squareでは、無料で簡単にネットショップを開設することができます。「まずは低コストで手軽にネットショップをはじめたい」といった場合は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
仕入れサイトを利用する
仕入れサイトとは、問屋とネットショップなどを運営する小売業者をつなぐインターネット上のウェブサイトです。「仕入れサイト」と「問屋」が混同されることがありますが、問屋は実際に商品を小売業者に卸す事業者で、仕入れサイトは複数の問屋をまとめて小売業者とつなぐ事業者と考えるとよいでしょう。
インターネット上にはさまざまな仕入れサイトがあり、「仕入れサイト」といったキーワードで検索するほか、仕入れサイトのまとめ記事などからニーズにあった仕入れサイトを探すことができます。ただし、法人でなければ利用登録できない仕入れサイトもあります。個人事業者の場合、まず、利用登録できるかどうか仕入れサイトの対象者をチェックしましょう。個人事業者が利用できる仕入れサイトについては具体例を挙げて後述します。
仕入れサイトから商品を仕入れてネットショップを開業する場合、実際に自分で在庫を持つことになりますが、「大量の商品を仕入れるには資金面が心もとない」「品質を保ちながら在庫を保管できるか自信がない」という人は、無在庫販売を検討してみてもよいでしょう。併せて「ドロップシッピングとは?初めてのEコマースでも在庫ゼロで起業できるネットビジネス」の記事を参考にしてください。無在庫販売に対応している仕入れサイトも後述します。
見本市に参加する
見本市とは、その名の通り、商品の見本をもとに商品の売買交渉を行う市で、年に複数回、商品や業界ごとに行われる大規模なイベントです。大都市で行われる国際見本市だけでなく、全国各地でもさまざまな規模の見本市が行われています。買い手と、メーカー・問屋・卸業者などの売り手を結ぶ商談の場のため、基本的には事業者限定の催事ですが、一般消費者が入場できるものもあります。
商品を実際に目で確かめたい人にとって、見本市は相性のいい仕入れ先かもしれません。気に入った商材を見つけたときに商談を持ちかけられるよう、名刺やショップの概要をまとめた資料を多めに用意しておくこと、「上代・下代」「掛率」「ロット数」などの専門用語を押さえておくこと、などの下準備にもしっかりと取り組みましょう。
オークションサイトを利用する
インターネット上で競売を行う、オークションサイト。商品ごとに入札期間が決まっており、期間が終了した時点で最も高い金額で入札した利用者に商品が渡ります。
まずは規模の大きなサイトから、商品を探してみるといいかもしれません。入札する際には、商品の値段や状態はもちろんのこと、付属品や保証書の有無にも注目しておくことが、商品の価値を下げないための掟です。また、仕入れに必要以上の金額を使わないためにも、商品の相場を事前に調べておくのが賢明でしょう。
オークションサイトと一見似ているようで、仕組みが少し異なるものにフリマアプリがあります。フリマアプリでは、他の利用者と競り合うことなく、出品者が決めた値段ですぐに商品を購入できます。なかにはオークションサイトなどと並行して、フリマアプリから仕入れる人もいるようです。
オークションサイトやフリマアプリから仕入れたものをそのまま販売することは、違法とみなされています。販売する前に、必ず販売許可を取得しましょう。必要な許可については次項で説明します。
以下の表にオークションサイト、フリマアプリの代表的なサービスをまとめています。
忘れてはいけない販売許可の取得
扱う商品によっては、販売許可の取得が必要です。ここでは中古品、輸入品、酒類に必要な許可を見ていきましょう。
中古品
中古品を取り扱う際には、古物商許可が必要となります。許可証は、事業所、または住所の管轄の警察署で発行してもらうことができます。発行には40日ほどかかるので、できるだけ早い段階で申請しておくと、いち早く販売をはじめられるでしょう。
古物として定められている商品は、古物営業法施行規則の2条にある通りですが、基本的には以下の状態にある物を指します。
- 一度でも使用されたことのある商品
- 未使用だけれど、自分以外の消費者の手に渡ったことのある商品
- 上記に修繕など、本来の用途に変化がない程度に手を加えた商品
輸入品
輸入品に必要となる許可は、扱う商品によって異なります。ほとんどの場合は、国内・輸入問わず、商品の品目ごとで取得が必要な許可が定められていますが、商品によっては「国内製造」「輸入」で手続きが異なるものもあるので、注意が必要です。以下の表では、許可の取得のほかに、書類の提出が必要となる輸入商品の品目を一部、まとめています。
なお、医療機器などは、機器の部類によって必要な手続きが異なります。医療機器の詳しい手続き方法については、家電製品輸入の手引きからご確認いただけます。
酒類
実店舗で酒類を取り扱う場合には「一般酒類小売業販売免許」が必要なのに対して、ネットショップには「通信販売酒類小売業免許」の取得が必要となります。また、ネットショップでは取り扱える酒類が、
- 地酒
- 輸入酒類
に限定されているので注意しましょう。「通信販売酒類小売業免許の手引き」には以下のように記述されています。
(1)以下の条件を満たす国産酒類である
(a)直近の会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量が全て3,000キロリットル未満である酒類製造者(特定製造者という)が製造販売している酒類
(b)特定製造者以外の製造者に製造を委託しており、製造委託者の所在地の地方特産品を原料とした酒類であること
(2)輸入酒類である(輸入酒類に関しては条件はなし)
申請書と添付書類は、販売する所在地の管轄の税務署に提出しましょう。申請書を提出すると、審査に進みます。審査は申請件数によるものの、平均で2カ月ほどかかるので、順調にネットショップを開業するには、なるべく早めに申請書を提出することが理想的です。
「ネットショップでの販売に必要な許可とは。届出先から申請方法までをご紹介」では、販売許可についてより詳しく説明しています。ぜひご参考ください。
仕入れサイトを利用する際の注意点
この章では、仕入れサイトを利用する前に知っておくべき注意点を紹介します。
仕入れサイトを使って商品を仕入れる方法は比較的ハードルが低いため、同じ、もしくは似た商品を扱う競合が多く、価格競争が起こりやすいことは知っておきたいところです。低価格を売りにして他のネットショップと価格面で競合するのか、それとも価格以外の独自の付加価値をつけて他のネットショップとの差別化を図るのか、事前にネットショップ運営におけるコンセプトの一部として決めておくとよいでしょう。価格競争に巻き込まれ、大幅に値下げをするといった運営のブレを防ぎます。
海外の仕入れサイトでは、納期や不良品、関税に注意が必要です。日本で仕入れるよりも余裕を持って商品を仕入れるようにしましょう。海外配送ではトラブルが起こることも少なくなく、納期が厳守されないこともあります。このほか、商品の品質が期待通りでないこともあります。商品の返品や交換には時間がかかることからも、時間に余裕をみておいた方がいいでしょう。アパレル製品など、季節が関わる商品を入荷する場合は特に注意が必要です。
また、海外からの仕入れには煩雑な事務手続きや、関税がかかることもあります。一見、商品の価格が安く、ネットショップの利益につながるかのように見える海外仕入れサイトですが、トラブルや事務手続きを考慮すると、少し価格は高くても国内の仕入れサイトを利用する方がよいこともあります。海外の仕入れサイトを利用する場合には、少量の商品を仕入れてみて、納期や商品の品質、対応に問題がない確認してから本格的に利用を検討しても遅くはありません。
個人で使える仕入れサイト
仕入れサイトの利用における注意点がわかったところで、国内外の仕入れサイトを具体的に見てみましょう。
国内の仕入れサイト
卸問屋.com
家電、食品・飲料、雑貨、カー用品、アパレル製品など幅広い商品を取り扱っています。会員登録には審査がありますが、会員登録、月額料金ともに無料です。ネットショップで取り扱いたい商品がある場合は会員登録を検討してみるとよいでしょう。1万円以上の注文で送料が無料になります。
商材王(SHOZAIOH)
家具とインテリアの総合卸サイトです。商材王のウェブサイトによると、家具の分野では日本最大級で、登録社数は6,000社以上、取扱商品点数は5,300点近くにのぼります。無在庫販売に対応しているため、在庫リスクが少なくてすみます。また、無料で利用できる商品写真や商品ページも提供されています。会員登録は無料です。
SUPER DELIVERY(スーパーデリバリー)
取扱商品はアパレル製品から生活雑貨、食品・飲料、家具・インテリア、電化製品、什器・店舗資材まで多岐にわたる総合仕入サイトです。SUPER DELIVERYのウェブサイトによると、登録社数は約3,000社、取扱商品点数は約141万点です。掲載商品の75%以上は1点から仕入れ可能で、規模の小さいネットショップにとっても使いやすいサービスといえそうです。トライアル登録で入会の翌月末まで無料でサービスを利用でき、以降月会費2,000円がかかります。登録には審査に通過する必要があり、販売予定のネットショップのURLの提出が必須です。ネットショップのオープン前は登録できない点に注意が必要です。
TopSeller(トップセラー)
ネットショップ専門の仕入れサイトです。無在庫販売に対応しているため、過剰在庫を抱える心配がありません。取扱商品点数は約30万点。会員登録は無料で、扱える商品点数は5点に限られますが、月額無料のプランもあります。有料プランの場合、仕入れる商品数により月額料も変わります。在庫を抱えずに小さく始め、ネットショップの成長に合わせてプラン変更できるメリットがあります。
NETSEA(ネッシー)
国内でも最大規模の仕入れサイトで、登録している業者は約4,800社、取扱商品点数は180万点以上にものぼります。アパレルを中心に、雑貨や電気製品など幅広いジャンルの品揃えが特徴です。会員登録、月額料金ともに無料で、ビギナー会員に限定されますが開業準備中の段階でも申し込みが可能です。固定費用がかからず、取扱製品が多いことから、ネットショップでアパレル製品を取り扱いたいという人は、まずはNETSEAに登録しておくとよいでしょう。
マルモトネット
キッチンとインテリア用品など、生活雑貨を扱う仕入れサイトです。運営元の丸元商事株式会社は創業70年以上の企業で、百貨店やホームセンターでも販売されている商品を取り扱っています。会員登録、月額料金はともに無料で、1点からの仕入れが可能です。お客様への直送にも対応しているので、無在庫で商品を取り扱うことも可能です。また、取引額によって割引を受けることができます。
TEN TO TEN (テントテン)
アパレル、インテリア、生活雑貨、食品と幅広い商品を仕入れることができます。「日本のいいもの」「世界のいいもの」をテーマとした仕入れサイトで、日本各地の伝統工芸品や名産品、世界各地から仕入れた雑貨、クリエイターや作家の作品なども扱っています。登録料や年会費は無料で、商品1点からの仕入れも可能です。登録時の審査に商品を販売するネットショップのURLの提出が必須なので、事前にネットショップをオープンしておく必要があります。
ザッカネット
取り扱う商品カテゴリーが豊富で、インテリア雑貨や生活雑貨、ファッションアイテムから、ペット用品やアウトドア用品といった他の仕入れサイトでは扱ってないような商品を見つけることができます。会員登録や利用料は無料です。登録時の審査は他の仕入れサイトと比較すると厳しく、商業登記簿もや開業届、過去の営業実績や事業計画の提出が求められます。その他にも事業者名で固定電話による受信が可能であることなど、利用開始までのハードルは低くはありません。誰もが簡単に利用できるわけではないので、競合するネットショップと商品が被ってしまうといった可能性は低いかもしれません。
海外の仕入れサイト
Alibaba(アリババ) / AliExpress(アリエクスプレス)
Alibaba、AliExpressともに中国のアリババグループが運営するサービスです。日本語に対応しており、AlibabaはBtoB、AliExpressは消費者向けという位置づけですが、どちらも仕入れサイトとして利用でき、あらゆるジャンルの商品を仕入れることができます。AlibabaはBtoBの仕入れサイトであることから、仕入れにあたってロット単位で注文する注文するのに対し、AliExpressは、1点から購入が可能です。Alibaba、AliExpressともに会員登録、月額料金は無料です。日本国内の仕入れサイトで取り扱いたい商品を見つけられない場合は、いずれかで検索してみるとよいでしょう。
Cmall(シーモール)
日本向けの商品のみを扱うレディースファッションの通販・仕入れサイトです。中国のアパレル製品やファッション雑貨を直接仕入れることができます。無料会員でも、支払い金額に応じてクーポンやポイント還元が得られます。プレミアム会員になるには年会費4,980円がかかりますが、クーポンやポイント還元だけでなく、毎回の支払いで5%の割引対象になります。ほとんどの取扱商品の価格は格安なので、手ごろな価格のアパレル製品をお客様に提供したいという人は利用を検討してみるとよいでしょう。
株式会社C2Jジャパンはアパレル製品だけでなく、より幅広い商品をBtoB向けに取り扱っているc2j.jpも運営しています。中国からの仕入れに興味があるという人はc2j.jpのウェブサイトも見てみるとよいでしょう。
淘宝網(タオバオ)
Alibaba、AliExpress同様、中国のアリババグループが運営するショッピングモールで、仕入れサイトとしても利用できます。地域として「日本」を選択することはできますが、ウェブサイトの表示は中国語です。淘宝網では幅広いジャンルの製品が格安で提供されていますが、中国語に通じている人を除いては、利用しにくいのが現状です。それでも「仕入れたい商品がある」「どうしても利用したい」といった場合、前述したCmallが淘宝網からの輸入代行を引き受けています。商品を選ぶ際に役立つ中国語検索用語彙表もあるので、参考にしてみましょう。
本記事では四つの仕入れ方法と、個人でも使える国内外の仕入れサイトを紹介しました。取扱商品によっては販売許可の取得が必要です。また、仕入れサイトを利用する際に気をつけたいポイントもおさえておきましょう。各仕入れサイトの紹介で述べたように、仕入れサイトによっては、登録前にネットショップの開設が必要なものもあります。決済代行サービスSquareでは、無料で簡単にネットショップが作成・開設できる「Square オンラインビジネス」を提供しています。ネットショップの開設を検討している事業者は検討してみてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2021年11月17日時点の情報を参照しています。2022年7月12日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash