金銭の出し入れを記録する従来のキャッシュレジスターと違い、多彩な機能を備えたPOSレジにはさまざまなメリットがあります。しかし、導入を検討する際には、導入費用やランニングコストなどが気になるでしょう。この記事では、POSレジの概要をはじめ、主要なPOSレジの導入コストとランニングコストの比較、各POSレジの特徴を紹介します。
目次
- POSレジとは?
・キャッシュレジスターとの違い - POSレジを導入するメリット
・レジ締めの簡素化
・作業効率のアップとミスの防止
・売上情報、顧客情報、勤怠情報などをデータで把握
・経営分析が可能に
・会計ソフトとの連携
・ネットショップとの連携 - POSレジの導入方法
- POSレジの種類と特徴
・ターミナル型POSレジ
・タブレット型POSレジ
・パソコン型POSレジ - POSレジの周辺機器と導入コスト
・クレジットカードリーダー
・カスタマーディスプレイ
・キャッシュドロアー
・パソコンなどの端末
・バーコードスキャナー
・レシートプリンター - POSレジの導入費用とランニングコストを比較
・Square POSレジ
・Airレジ
・スマレジ
・ユビレジ
・Uレジ
・マジレジ
・ワンレジ
・tenposAir(テンポスエアー)
・CASHIER
・blayn
・POS+(ポスタス)
・パワクラ
POSレジとは?
POSとは、Point Of Sales(販売時点情報管理)の頭文字を取ったもので、商品が売れた時に「何が、何個、いつ」売れたかなどのデータを自動的に記録するシステムのことをいいます。さらに「どんなお客様に売ったか」「誰が売ったか」「どんな手段(現金、クレジットカードなど)で売ったか」を記録するPOSもあります。
後ほど「POSレジ導入のメリット」で詳述しますが、POSレジには売上集計をはじめとするさまざまな機能が搭載されているため、レジ締めが格段に簡素化されるというメリットがあります。
キャッシュレジスターとの違い
キャッシュレジスターは金銭登録器とも呼ばれ、商品の販売金額を計算して登録するものです。中には販売分析機能などがついたものもありますが、基本的な機能は売り上げの記録と金銭の管理なので、情報の蓄積と分析においてはPOSレジの方が優れています。
POSレジを導入するメリット
レジ締めの簡素化
経済産業省発表の資料によると、レジ締めにかかる平均時間はレジ1台あたり25分となっており、店舗スタッフにとって閉店後のレジ締めは手間のかかる煩雑な作業といえます。レジに残っている現金と一日の売り上げをレシートと照らし合わせて差額がないかを確認するのがレジ締めですが、金額が合わないと何度も計算しなくてはなりません。
POSレジを導入すれば、売上管理が自動化されるので、手作業による売上計算がなくなる分レジ締めの手間を格段に省くことができます。また、レジの使用履歴が残るタイプであれば、誰がいつ会計したのかがわかり、不正防止にも役立ちます。
作業効率のアップとミスの防止
バーコードを読み取る、もしくは、POSレジにあらかじめ登録した商品をタッチパネルで選択する方法ならば、オペレーションが簡素化され、数字の打ち間違いなどのヒューマンエラーを起こす可能性が低くなります。また、業務効率が上がることによってお客様一人一人の待ち時間が短くなり、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
売上情報、顧客情報、勤怠情報などをデータで把握
POSレジでは「何が、何個、いつ、いくらで売れたか」などの売上データが記録され、一元管理ができます。また、お客様の性別や年代を記録できるPOSもあるので、顧客層や年代別購入傾向などの顧客データを把握でき、さらなるサービスの向上を目指すことができます。スタッフの出退勤を記録できるPOSレジを使用すれば、正確な勤怠管理を行うことも可能です。
経営分析が可能に
POSレジに蓄積されるデータを活用することで、売れ筋商品や死に筋商品を把握し、どのような商品やサービスを顧客が求めているのかを分析でき、適切な経営判断の材料とすることができます。また、シーズンだけでなく、商品が売れた曜日や時間帯など詳細なデータを分析できるPOSレジなら、データを基に細かな販売戦略を立てることができるようになります。
会計ソフトとの連携
会計ソフトと連携できるPOSレジもあります。勘定科目や税区分などを自動で振り分けてくれる会計ソフトと連携すれば、確定申告や決算書の作成時に手間が大幅に省けます。
ネットショップとの連携
実店舗とネットショップの両方を運営しているビジネスオーナーも多いのではないでしょうか。店舗で使うPOSレジとネットショップのデータを同期させて、両方の在庫管理を一括で行うことができれば、効率的な経営が実現します。
POSレジの導入方法
POSレジを導入するには、メーカーや販売代理店から購入する、レンタルする、リースをすると、3種類の方法があります。購入はトータルでの価格は抑えられますが、初期費用が高額になる場合もあります。レンタルは、短期間で借りることができ、使用感を確かめるのに最適です。しかし、長期間借りるとなると費用がかさむこともあります。リースは初期費用が無料な場合もあり、レンタルよりもトータルの価格が抑えられますが、基本的に長期での契約が前提で途中解約ができないというデメリットがあります。
POSレジの種類と特徴
POSレジには、主にターミナル型POSレジ、タブレット型POSレジ、パソコン型POSレジがあり、それぞれの特徴を表にまとめました。
ターミナル型POSレジ | タブレット型POSレジ | パソコン型POSレジ | |
---|---|---|---|
向いている業種 | スーパーマーケット、量販店、コンビニエンスストアなど | 飲食店、催事場、美容院など | すでにパソコンを利用している小売店やクリニック |
導入費用 | ・端末代50万円〜 ・月額利用料 10,000円前後 |
・タブレット代 ・月額利用料 無料~15,000円程度 |
・パソコン代 ・ソフト代 無料〜 ・月額利用料 無料~数万円 |
メリット | ・店舗に合わせて開発されているので、運用形態に合わせたカスタマイズが可能 ・手厚いサポートが受けられる ・高性能 |
・持ち運びが可能 ・多様なシーンで利用が可能 ・スマートフォンやタブレットに慣れていれば操作が簡単 ・アプリで機能拡張が可能 |
・パソコンの操作に慣れていれば比較的簡単 ・ターミナル型より費用が安い |
デメリット | ・ほかのPOSレジに比べると高額 ・狭い店舗に不向き ・慣れるまでに時間がかかる |
・キャッシュドロアー、バーコードスキャンなどの周辺機器を別途購入する必要がある | キャッシュドロアー、バーコードスキャンなどの周辺機器を別途購入する必要がある |
持ち運び | × | ○ | △ |
ターミナル型POSレジ
専用のハードウェアに専用のソフトウェアをインストールしたPOSレジ端末で、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど大型店舗やチェーン店でよく導入されています。据え置き型が基本で、狭い店舗には不向きです。キャッシュドロアーやバーコードリーダーなどの周辺機器も合わせて提供されることが多いです。
タブレット型POSレジ
iPadなどのタブレットに専用のアプリをインストールして、POSレジとして使用します。必要に応じて周辺機器を用意する必要はあるものの、アプリは無料で提供されていることも多い上に既存のタブレットを使用できるので、導入の初期費用は大幅に軽減できます。また、普段使い慣れているタブレットで操作でき、使い方を覚えるまでのトレーニング時間が抑えられるのもメリットといえるでしょう。
パソコン型POSレジ
POS用ソフトウェアをパソコンにインストールしてレジとして使用するものです。ソフトウェアは無料のものもありますが、月額利用料などの維持コストがかかる場合が多いようです。
POSレジの周辺機器と導入コスト
POSレジと合わせて、会計業務をサポートしてくれる周辺機器の種類と各機器の相場について紹介します。
クレジットカードリーダー
クレジットカードの情報を読み取る機械です。数千円から購入することができます。電子マネー決済にも対応したマルチ決済端末もあり、Square リーダーなら4,980円(税込)で購入が可能です。
カスタマーディスプレイ
お客様に向けて商品の値段を表示するディスプレイです。POSシステムのアプリケーションによりますが、iPhoneなどを利用できる場合もあります。Bluetooth接続、USB接続のタイプがあり、それぞれ20,000円前後から購入可能です。
キャッシュドロアー
現金を収納する引き出しのことです。レシートプリンターと接続できるタイプは10,000円前後、USBでパソコンと接続して使うタイプは15,000円前後で手に入ります。
パソコンなどの端末
POSレジアプリをインストールするための端末で、パソコンは手頃のものだと60,000円前後、タブレット端末のiPadは40,000円から100,000円、Android端末は10,000円前後となっています。
バーコードスキャナー
バーコードを読み取るための機械です。スキャナーとバーコードが離れた状態でも読み取り可能なロングレンジバーコードスキャナーや、読み取り難い幅が広いバーコードにも対応できるタイプなどがあり、価格はどちらも10,000円前後となっています。また、Bluetooth接続など、ワイヤレス接続が可能なものであれば30,000円前後で購入できるものもあります。
レシートプリンター
レシートや領収書、伝票を印字するプリンターです。据え置きタイプから持ち運びしやすいポータブルタイプまであり、価格は20,000円台から100,000円台までさまざまです。
POSレジの導入費用とランニングコストを比較
ここでは、導入費用やランニングコストが比較的安く、手軽に導入できるタブレット型POSレジの導入費用と月額使用料、そして主な特徴について紹介します。
対象業種 | 初期費用(税込) | 月額使用料(税込) | 対応OS | |
Square POSレジ | 各業種 | 無料 | 無料 | iOS、Android |
Airレジ | 各業種 | 0円(別途iPadの用意が必要) | 無料 | iOS |
スマレジ | 各業種 | 0円(別途iPadの用意が必要) | スタンダード:無料 プレミアム:4,400円 |
iOS |
ユビレジ | 各業種 | 0円(別途iPadの用意が必要) | 7,590円 | iOS |
Uレジ | 飲食店、理美容院、小売店、整体院 | 要問合せ | 要問合せ | iOS |
マジレジ | 飲食店 | 要問合せ | ライセンス利用料:1,650円 | Android |
ワンレジ | 飲食店 | 要問合せ | 要問合わせ | Android |
tenposAir | 飲食店 | 要問合せ | 11,000円 | iOS |
CASHIER | 各業種 | フリー:0円 購入:128,000円〜 |
フリー:12,800円/台 購入:4,400円/台 |
Android |
blayn | 飲食店 | タブレット型POSレジ:69,800円 モバイル型POSレジ:29,800円 セルフレジ:198,000円 |
無料プラン:0円 スタンダードプラン:3,080円 プレミアムプラン:10,780円 |
Android |
POS+(ポスタス) | 飲食、小売、美容 | 要問合せ | 飲食店:6,600円〜 小売店:13,200円〜 |
iOS |
パワクラ | 小売店、ネットショップ | 要問合せ | フリー:0円 スタンダード:7,000円 プレミアム:要問合せ |
Windows |
Square POSレジ
世界各国でキャッシュレス決済サービスを展開するSquareのSquare POSレジは、iOSでもAndroidでも使えるため、スマートフォンやタブレットを買い替えてもデータを引き継ぐことが可能です。無料のSquareのアカウントを作成してアプリをダウンロードするだけで、当日から利用することができます。一日の売上情報は登録したメールアドレスに自動で送信されるので、複数の店舗を経営しているビジネスオーナーには便利な機能です。在庫管理やタイムカード、オーダーエントリーシステム、顧客管理などの機能が無料で利用でき、ネットショップとの連携も可能です。
キャッシュレス決済には、Square リーダーまたはSquare スタンド、Square ターミナルいずれかの決済用端末を用意します。主要ブランドのクレジットカードとQRコード、電子マネーが利用できます。
Airレジ
株式会社リクルートが運営するAirレジは、iPad専用のPOSレジアプリです。商品登録や会計、在庫管理、売上分析などの機能が導入費用・月額費用無料で利用できます。Airペイと組み合わせることで、カードリーダー1台でキャッシュレス決済やQRコード決済に対応できます。iPadやキャッシュドロアーなどの必要な機器がセットになったスターターパックもあるので、初めてPOSレジを導入するビジネスオーナーに向いています。
スマレジ
スマレジは、iOS向けのPOSレジアプリです。基本的なレジ機能が使える無料のスタンダードプランから、プレミアムプラン、飲食店向けのフードプランや小売店向けのリテールプランなど、5種類のプランが用意されています。イベントなど短期間だけPOSレジを導入したいビジネス向けのレンタルプランもあります。パスポートリーダーに対応しているので、免税対応をしたいお店に向いているでしょう。まずは無料で始めてから自店舗に合ったプランに変更していくのもいいかもしれません。
ユビレジ
ユビレジは、iPad専用のPOSレジアプリです。無料のお試しプランと有料プラン、飲食店向けと小売店向けの有料オプションを設けており、基本的なレジ機能に加え、売上管理や分析、顧客管理や会計ソフトとの連携も行うことができます。また、SquareやSTORES 決済といったキャッシュレス決済サービスとも連携できます。また、予約管理や飲食店のセルフオーダーシステムなど、使いたいシステムと柔軟に連携できるのも魅力です。有料の導入サポートでは、インターネットの開通や商品情報のデータ化などを専任の人にお任せすることができます。短期間で効率よくPOSレジを導入したいときには検討してみてはいかがでしょうか。
Uレジ
Uレジは、株式会社USENが提供するiPad向けのPOSレジアプリです。飲食店・理美容院・小売店・整体院に特化した4種類のPOSレジアプリを揃えています。飲食店向けにはメニュー設定やテーブル管理、理美容院向けには顧客管理やスタイリストごとのマイページ、小売店向けは在庫管理と、それぞれに必要な機能を実装しています。初期登録や設置作業もすべてUレジで行なってくれるほか、導入後には24時間365日、ヘルプデスクでサポートの対応をしてくれるので、安心です。
マジレジ
マジレジは、Android対応のPOSレジです。操作画面、レシートプリンター、カスタマーディスプレイが一体となっている専用のハードウェアを使うので、面倒な無線設定などが必要ありません。オプションにはなりますが、応急対応のヘルプデスクが24時間365日オープンしているので、深夜営業の飲食店にも安心です。
ワンレジ
ワンレジは、飲食店専用のPOSレジです。顔認証によるタイムカード打刻など、不正を防ぐ機能が充実しています。導入する前に試用することもでき、メニュー登録や機器の設置も行なってくれます。カスタマーサポートは24時間365日オープンしています。
tenposAir(テンポスエアー)
tenposAirは、飲食店専用のiPad向けPOSレジです。一時的にインターネットの接続が途切れても、オーダーや会計、レシートプリントに支障がないのが魅力です。導入時の設定や操作説明だけでなく、導入後の問い合わせにも365日ヘルプデスクが対応してくれます。
CASHIER
CASHIERは、Android対応のPOSレジです。CASHIER POSを搭載した専用のハードウェアを利用します。店舗やビジネスのニーズに応じたカスタマイズにも対応できる柔軟なシステムが魅力です。初期費用0円のフリープランと、初期費用128,000円からの購入プランがあります。Square ターミナルと連携すれば、キャッシュレス決済にも対応可能です。
blayn
blaynは飲食店専用のPOSレジで、専用のハードウェアを使ったタブレット型POSレジ、モバイル型POSレジ、セルフレジを提供しています。リアルタイムで売り上げを管理できるアプリを提供しており、オーナーや店長は店舗にいなくても売り上げの管理が可能です。また、オプションにはなりますが、Uber Eatsや出前館からのオーダーを一元管理できる機能もあります。
POS+(ポスタス)
POS+は、飲食、小売、美容の各業種に特化した機能を備えたiPad向けのPOSレジです。ビジネスの変化に応じて柔軟にさまざまなシステムと連携することができます。電話によるサポートも駆けつけ応対も無料で、キャッシュレス決済、予約システム、会計ソフトなどとの連携も可能です。導入にはPOS+指定のアクセスポイントを購入する必要があります。
パワクラ
パワクラは、小売店、ネットショップ向けのPOSレジです。複数の店舗とネットショップを連動させているビジネスオーナーにとっては、在庫管理が一元化できて便利といえるでしょう。また、有料機能ですが、クーポンシステムやポイントシステムも利用できます。LINEと連携しているので、LINE公式アカウントを使った集客効果アップが期待できます。
POSレジは、契約する会社によって導入費用もランニングコストも大きく変わります。導入費用無料、月額費用無料のPOSレジも多いので、まずは無料で各POSレジを使ってみてから、自社のビジネスに合ったPOSレジの導入の検討をしてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2022年1月17日時点の情報を参照しています。2022年9月1日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash