経理から営業までほとんどの業務を1人で担う個人事業主や、複数の業務を兼務することの多い小規模事業者。そんな忙しい日々を楽にすべくおすすめしたいのが、会計業務の効率化です。最近は、パソコンだけでなく、スマートフォンのアプリ上からでも利用できるクラウド会計サービスが登場しています。
今回は、限られた時間と人員で生産性を向上させ、業務の効率を上げるクラウド会計アプリを紹介します。
目次
業務効率化の重要性
中小企業の動向を詳細に分析した中小企業白書によると、小規模事業者の53.9%が人手不足への対応として「経営者の労働時間を増やし対応」していることがわかりました。また、経営者自身が減らしたいと思っている業務に「財務・会計」「在庫管理」「給与管理・勤怠管理」など、いわゆるバックオフィス業務が上位3位を占めています。
参考:2018年版 中小企業白書・小規模企業白書概要(中小企業庁調査室)
人手不足への対応に加え、バックオフィス業務も担う経営者にとって、業務の効率化は喫緊の課題でしょう。
IT導入の課題
前述の中小企業白書では、業務効率化の策としてIT導入が挙げられています。
調査によれば、現在企業において最も利活用が進んでいるITツールは、ワードやエクセルと電子メールで、それぞれ5割を上回っています。しかし、売り上げが小規模な企業での利活用率は4割を下回っており、ITツールの導入が進んでいるとはいいがたい状況です。
導入の課題として、「コストが負担できない」「導入の効果が分からない、評価できない」「従業員がITを使いこなせない」という項目が挙がっています。
参考:2018年版中小企業白書 第2部 第4章 IT 利活用による労働生産性の向上(中小企業庁)
クラウドサービスとは
新しいツールを導入する際に障壁となる、コストの問題を解決するためにもおすすめしたいのがクラウドサービスです。クラウドサービスのメリットには以下の点が挙げられます。
導入が簡単
以前はどんなソフトを購入するかを検討し、端末数だけソフトウェアを購入し、インストールすることが一般的でした。クラウドサービスでは、無料お試し期間を設けているサービスも多く、試しに少し使ってみてから決めることができます。また、同じアカウントを複数のユーザーで共有できたりと、コストをかなり抑えて新しいツールを導入できます。
運用コストが抑えられる
システムのバージョンアップは自動で行われるため、IT担当者を置く必要がなく、運用コストが抑えられます。
インターネットにつながる環境なら、どこにいても利用できる
インターネットがつながる環境であれば、どこにいても利用できます。データはクラウドサーバー上で管理されているため、スマートフォンやパソコンなどデバイスを気にせず、さらに複数名で同時に作業ができる点も大きな特徴です。
アプリでも使えるクラウド会計サービス3選
クラウド会計サービスの中には、アプリから使えるものもあります。スマートフォンのアプリならいつでもどこでも作業ができ、業務の効率化に最適だといえます。
今回は、スマートフォンのアプリから利用できるクラウド会計サービスを三つ紹介します。
freee
取引先登録、口座の同期、請求書・見積書・納品書作成、決算書作成、経費精算といった機能が利用できます。アプリはAndroidとiOSに対応しており、仕訳登録から確定申告までアプリ上で完結することができます。ただし、請求書作成機能に関してはAndroid版限定になります。
POSレジやECサイトの売上データを自動で取得したり、請求書の内容を自動的に帳簿に反映させたり、連携先の銀行やクレジットカードの明細から勘定科目を推測したりなど、お金にまつわる情報を一箇所にまとめられるのが便利です。
Square POSレジアプリと連携して、POSレジのデータを自動的に取り込むこともできます。
個人向けプランは月額980円(年払い9,800円)のスタータープラン、月額1,980円(年払い19,800円)のスタンダードプラン、年額39,800円のプレミアムプランの3種類。法人向けプランは年間23,760円のミニマムプラン、年間47,760円のベーシックプランから選べます。 いずれも最大30日間無料のお試し期間があります。
弥生会計オンライン
「弥生会計オンライン」は決算書、製造原価報告書、消費税申告書などが作成でき、freeeと同じく銀行やクレジットカードの明細を自動で取り込み仕訳登録するスマート取引取込機能を利用することもできます。
アプリはAndroidとiOSに対応しており、売り上げや経費の取引登録機能とレシート撮影取込機能が搭載されています。日々の取引入力がタップとスワイプで完了できるため、経理にかかる作業時間を削減できます。
無料体験プラン、セルフプラン、ベーシックプランの3種類があります。
最大2カ月の無料体験プランでは、決算書作成機能は使えませんが、初期サポートとして電話またはメールにて操作に関する質問や仕訳の相談ができます。セルフプランは年額26,000円、ベーシックプランは年額30,000円で、それぞれ初年度は最大2カ月の無料体験が付いています。
マネーフォワードクラウド会計
マネーフォワードでは、法人向けに「クラウド会計」ソフトを提供しています。AndroidとiOSに対応しているアプリでは、銀行口座別残高や明細の確認、収益や費用の分析照会ができますが、いずれも確認のみで、仕訳などの作業はできません。
年間仕訳件数50件までのフリープランが0円、仕訳件数無制限で従業員5人未満向けのライトプランが月額1,980円(年額プラン21,780円)、仕訳件数無制限で従業員5人以上の中小企業向けベーシックプランが月額2,980円(年額プラン32,780円)、請求書や給与など同社の他のサービスをまとめて使えるバリュープランが3,900円から、の4種類があります。
便利なサービスを活用することにより時間に余裕が生まれ、他の業務にもっと労力を割くことができるようになるかもしれません。ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆は2019年3月13日時点の情報を参照しています。
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