口にすると家族や大切な人を思い出す食べ物はあるだろうか。日本人にとってそれはオムライスかもしれないし、家族でよく囲んだすき焼きの鍋かもしれない。アメリカ南部の人にとって、それはフライドチキンや、キャットフィッシュ&グリッツ、ガンボだったりするそうだ(※)。
「ソウルフード」という言葉はアメリカ南部で親しまれる料理によく使われる言葉だが、日本でアメリカ南部料理を提供するレストラン「Soul Food House(以下、ソウルフードハウス)」の店主、デヴィッド・ウィティカーさんによると「誰かが自分のためだけに愛情を込めて作ってくれた料理という意味合いもある」という。
今回はそんなデヴィッドさんが妻のラトーニャさんとともに経営しているレストラン、ソウルフードハウスに伺い、お店のこと、そして店舗などでどのようにSquareを活用しているかを聞いてみた。
※:
キャットフィッシュ……アメリカナマズ。トウモロコシを挽いた粉の衣をつけ、フライにして食べるのが一般的。
グリッツ……トウモロコシの粉を茹でたおかゆのような料理。牛乳で煮込んだりチーズやバターを入れたりして味付けをする。
ガンボ……オクラに香辛料などをくわえて煮込んだスープ。魚介類や鶏からとった出汁を使う。
業種 | 飲食業・サービス業 |
業態 | 飲食店・バー・イベントスペース |
利用しているサービス | Square POSレジ、Square リーダー、Square ターミナル、Square オンラインビジネス、Square 請求書 |
導入を検討した理由 | 業務を効率化したかった |
Squareが役に立っている点 | ・複数箇所からの売り上げを一箇所に集約できた ・売上分析でロスを減らせた ・給付金の書類作成が簡単に行えた ・勤怠管理に時間をかけなくて済むようになった |
レストランをはじめる予定はなかった
韓国系アメリカ人の人気シェフ、デイビッド・チャンがホストを務めるNetflixの番組「アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語」で取り上げられたり、NHK「えいごであそぼ with Orton」では料理コーナーを担当したりと、ここ数年、メディアで引っ張りだこのソウルフードハウス。
▲NHK「えいごであそぼ with Orton」の料理コーナー「LaTonya’s FUNKY COOKING SHOW」を撮影しているときの様子。撮影は店舗内で行われた。写真提供:デヴィッド・ウィティカーさん
ところが店主のデヴィッドさんとラトーニャさんは当初レストランを開くことは特に考えていなかったようで、そもそも日本に移住したのも宣教師としてだったという。レストランを開業するきっかけになったのは、来日した2005年から毎年欠かさず開催していたサンクスギビングのディナー。最初はこぢんまりとした行事だったものの、参加人数は年々増え、いつしか150人もの友人知人が参加する一大イベントにまで成長したそうだ。
▲サンクスギビングディナーの様子。写真提供:デヴィッド・ウィティカーさん
ミュージシャンであるデヴィッドさんは、日本に移り住んでから都内で音楽イベントなどを開催していたことから、音楽カフェを開くアイデアもあったという。ところが、サンクスギビングのディナーがあまりにも好評なことから、そこで提供していたアメリカ南部の料理が食べられるレストランに需要があるかもしれないと考えるようになったのだそう。
子どものころから食べてきた故郷の料理をレストランという形で提供しはじめたのは、2015年のことだ。海外からの移住者も多く住む麻布十番という土地ではじめたお店を「ソウルフードハウス」と名付けた。
無料の売上分析機能でメニューの売れ行きをすぐに把握
大人気のメニューはフライドチキン&ワッフル。サクサクのフライドチキンにメイプルシロップをたっぷりとかけてから口のなかに入れると、メイプルシロップの甘さとフライドチキンの思わぬ相性のよさに驚く。そのほかにも人気メニューには、「ガンボ」「ジャンバラヤ」「キャットフィッシュ&グリッツ」などがあるそうだ。
ソウルフードハウスではオープン当初からSquareのPOSレジと決済端末をしている。好評なメニューとそうでないメニューを肌感だけでなく、売り上げた数をもとに把握できるのは、SquareのPOSレジを使用しているためだ。
SquareならPOSレジにメニューを登録したうえで決済を受け付ければ、売上情報は自動的に記録され、分析データも自動的に作成されていく。売れているメニューも管理画面からすぐに確認できるので、デヴィッドさんは逐一メニューの売れ行きを確認しながら、メニューをキープするかしないかを判断しているそうだ。
食品ロスを減らすうえでも役に立った売上分析機能
よく売れるメニューを把握しておきたいのもそうだが、それ以上に知っておきたいのは売れていないメニューだろう。コストのこと、食品ロスのことを考えたときに飲食店で一番もったいないのは注文がなく、在庫を余してしまうことだ。特に、人気のないメニューでしか使わない食材があるとしたら、そのメニューをまるっと販売中止にすることも検討しないといけない。デヴィッドさんはSquareのアカウント上で商品別売上を見ながら「バッファロー・カリフラワー・スライダー」をメニューから外したと教えてくれた。それ以来ひとりだけ「いつ復活させるんだ?」と聞いてくる友人客がいるそうだが、復活はしばらくはお預けのようだ。
売上分析機能は給付金申請の際にも活躍
売上分析機能が一役買っているのは在庫適正化の場面だけではない。コロナ禍で持続化給付金の申請をする際、特定の期間の売り上げを報告しなければいけなかったときも、一瞬にして指定した期間の売り上げを抽出することができたというデヴィッドさん。
「給付金の申請はものすごく効率よくできたよ。コロナ禍とコロナ前の売上額がアカウントの管理画面から一瞬で確認できたから、その画面をスクリーンショットして添付したんだ。誰かに手伝ってもらう必要もなくて助かったよ」
Squareの売上分析機能を活用すると、期間を指定するだけでその期間の売り上げがすぐに表示される。
申請書類の準備に誰かの力を借りないといけないとなると新たな手間やコストが発生しかねないため、自分ひとりで時間もお金もかけずに解決できたのは助かったそうだ。
あらゆる売り上げを一箇所にまとめられた
レストランの経営者でありながら一児の父でもあるデヴィッドさんにとって、忙しい日々をさらに忙しくしないためにも売り上げにまつわる情報が複数のシステムに散らばらず、一箇所にまとまっていることは妥協できない点だった。
「売り上げを知るために五つのシステムを見るなんてことはしたくない。現金もクレジットカードも交通系も一箇所で見れないと、『何か忘れてないかな……』っていちいち確認する手間が出るでしょ?」とデヴィッドさん。
そのため、2020年の秋にソウルフードハウスと同じビルの9階でバー兼イベントスペースの「Legacy Lounge(レガシー・ラウンジ)」を始めたときには、迷いなくSquareの決済端末とPOSレジを使うことにした。そうすることで、レガシー・ラウンジとソウルフードハウスの売り上げが同じアカウントから見れるようになった(※)。
※:同アカウント内での確認にはなりますが、各店舗ごとの売り上げは分けて表示することができます。
▲アフリカ系アメリカ人の支援団体「Legacy Foundation Japan」のイベントを開催するほか、イベントスペースとしての貸し切り利用も行っている。夜は人員によりけりで、バー営業をしている。
店舗外で決済を受け付けるときは、どうしているのか。たとえば人員や予約の埋まり具合と相談しながらときどき受けているケータリングの依頼。こんなときは、ケータリング先にSquareのアカウントから作成できるオンラインの見積書と請求書をメールで送付しているそうだ。
見積書・請求書を作成する際には「すでにPOSレジに登録しているメニューを選択するだけで送信できてしまうので、『どうやったらいいんだ』と迷うことなく、すぐにできている」とデヴィッドさん。請求書はソウルフードハウスのアカウント上で作成すれば、ケータリングからの売り上げも、店頭での売り上げとまとめて管理することができる。
躊躇なく、どんどん自動化する
デヴィッドさんは効率がよくなるのであれば、自動化できる機能を躊躇なく取り入れるようにしている。たとえば勤怠管理。2022年時点でソウルフードハウスで働く従業員は全部で8人。一人ひとりのタイムカードを紙で管理するとなると、給与計算をするときに結局エクセルなどに全員の勤務時間などを打ち込むことになるかもしれない。
Squareの勤怠管理機能を使うと、従業員にアプリを通して打刻してもらうだけで各従業員がいつ、どれだけ働いたかを管理画面からすぐに確認できるようになる。デヴィッドさんによれば「勤怠はデジタルで管理したほうが、手際がいいよね」とのことで、最初の数カ月は紙で管理をしていたが、すぐにこの機能に切り替えたという。
さらにレガシー・ラウンジでは、毎月イベントを開催している。日本でビジネスをはじめたいなどと考えるアフリカ系アメリカ人が気軽にアドバイスを求めたりさまざまな分野で活躍する人たちと交流できたりする「Legacy Foundation Japan(レガシー・ファウンデーション・ジャパン)」という団体の取り組みで、ビジネスに必要な知識から公の場だと話す機会の少ない人種差別のことまで、幅広く取り上げている。基本的には誰でも参加できるが、内容によってはアフリカ系アメリカ人に限定しているものもあるそうだ。
イベントの参加人数は前もって把握できるようデヴィッドさんはレガシー・ラウンジのウェブサイトをSquareで開設。そこにイベントの告知ページを作成し、参加表明ができるよう設定している。Instagramや個人のTwitter、Facebookなど人の目に留まるところにイベントページへの誘導リンクを貼り付けてイベントを宣伝すると、そのリンクを通じて参加希望者たちが参加表明をしてくれる。
たとえば「イベントに興味のある方はメッセージをください」というように事前予約を受け付けてしまうと、最終的には自ら参加者リストなどをまとめる必要が出てくるだろう。サイトを通して参加表明をしてもらうことで、デヴィッドさんは管理画面からサッと参加人数や参加者の名前などを把握できるようになった。
さらにデヴィッドさんとラトーニャさんはバーベキューソースをはじめ、各種オリジナルソースの販売を始める準備をちょうどしているところだという。Squareで作成できるウェブサイトにはネットショップ機能もついているので、ソースに関してはSquareでもう一つサイトを開設して販売したいと話してくれた。
※Squareでは一つのアカウントで複数のサイトを無料で開設することが可能です。
異国のようで親戚の家のようにも感じる
冒頭でも触れたようにソウルフードは「誰かが自分のためだけに愛情を込めて作ってくれた料理」という意味合いを持つそうだが、大切な誰かに作ってもらったからこそ、安心感を与えてくれるものでもあるとデヴィッドさんは付け足す。ソウルフードハウスで食べられるもののほとんどがデヴィッドさんが幼いころから食べてきたものをベースとしているが、なかでも心を元気にしてくれる食べ物はどれかと聞いてみると、「プルドポーク」とすぐさまに答えてくれた。
※プルドポーク……豚のかたまり肉を長時間かけて低温で調理し、細かくほぐして味付けするバーベキュー料理。
▲サービス精神が旺盛で、よく笑う陽気なデヴィッドさん
ノースカロライナ州に暮らしていたデヴィッドさんの祖父が家畜の豚を飼養していたことから、祖父の家に遊びに行くと必ずといっていいほどプルドポークを食べたそうだ。そんな思い出から、豚を燻している匂いを嗅ぐと、今は亡き祖父を思い出すとともに幸せな気持ちに包まれるという。大事な思い出を振り返りながらうれしそうに語るデヴィッドさんを見て、食への愛情は大切な人と食卓を囲んできた思い出でから生まれているように感じた。
日本だと普段はあまり食べることのないようなメニューに多く並ぶソウルフードハウスは、アメリカまでひとっ飛びしたような気分にさせられる場所だが、不思議と親戚の家を訪れたような居心地のよさも感じられる。ひょっとしたらデヴィッドさんがソウルフードを作ってもらったときの喜びや幸せを、今度はソウルフードハウスを訪れるお客様に対して提供しているのかもしれない。
「給付金の申請はものすごく効率よくできたよ。コロナ禍とコロナ前の売上額の売り上げがアカウントの管理画面から一瞬で確認できたから、その画面をスクリーンショットして添付したんだ。誰かに手伝ってもらう必要もなくて助かったよ」ー ソウルフードハウス 店主 デヴィッド・ウィティカーさん
Squareが実現したこと
すべての売り上げを一箇所に集約できた
デヴィッドさんはSquareの決済端末とSquareの請求書を使うことで、アメリカ南部の料理を提供しているレストラン「ソウルフードハウス」とバー兼イベントスペースの「レガシー・ラウンジ」の売り上げ、さらにはソウルフードハウスで受けたケータリングの売り上げをすべて一つのアカウントから確認・管理することができるようになりました。
店舗数を増やしても、店舗外で決済を受け付けても、それぞれのチャネルから得た売り上げを一箇所でまとめて管理できることで、確認漏れの心配も複数箇所を確認する手間もなく、経理作業に取り組むことができています。
売上分析でロスを減らせた
自動で売り上げた商品を分析してくれるSquareのPOSレジを使うことで、売れ行きが芳しくないメニューの販売を停止し、食品ロスと無駄なコストを減らすことができました。
給付金の書類作成も簡単に行えた
指定期間の売り上げを簡単に検索し、すぐに表示できる売上分析機能を使うことで、コロナ禍での給付金申請書類に必要な売上情報もほんの数分ですぐにまとめることができました。
勤怠管理を簡単に
Squareの勤怠管理機能には無料で使える打刻機能が備わっています。デヴィッドさんは各従業員にこの機能を利用してもらうことで、自らそれぞれの勤務時間を月末などにまとめる必要がなくなり、管理画面を見るだけで誰がいつ、何時間働いたかを把握できるようになりました。
この事例に登場したSquareのサービスは:
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