資金繰りの改善に役立つ対策8選

「素晴らしいアイデアがあり起業したが、その1年後には倒産してしまった。資金繰りがうまくいかなかったようだ」このような話を耳にしたことがある経営者もいるかもしれません。資金繰りは事業の存続に関わる、経営者にとって非常に重要な課題です。

「資金繰り」とは、会社に入ってくるお金(収益)と出ていくお金(支出)の管理をし、資金の流れをコントロールすることを意味します。経営者は、仕入れや給与の支払い、売掛金の回収など、社内のお金の出入りを把握して支払いがスムーズにできるよう、資金繰りを行わなければなりません。今回は、資金繰りに役立つヒントを紹介します。

目次



資金繰りの仕組み

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そもそも、資金はどのようなことに使われているのでしょうか。たとえば、以下の例が挙げられます。

事業運営を行う中で、資金を安定的に確保、計画的に活用し、余剰資金で新たな事業に投資してさらなる資金を生み出すスパイラルを作ることが、経営者にとって理想的な資金繰りかもしれません。

もし資金繰りがうまくいかず、資金が不足すれば事業の継続が難しくなり、最悪の場合黒字倒産になることもあります。経営者の中には、売り上げを伸ばすことに集中し資金の回収にまで手が回らなかったり、支払期日が相手任せになっていたりするパターンが見られます。中には、日々の業務が忙しすぎて、資金の回収そのものを忘れているケースもあるかもしれません。

また、個人事業主の場合、会社と個人のお金の区別が曖昧なこともあるでしょう。しっかりとルールを設けて管理する必要があります。

資金繰りが悪化してしまう理由

資金繰りの悪化を売り上げの減少と結びつける人は少なくないかもしれませんが、毎月の収益と支出の流れが把握できていない、過剰在庫を抱えている、必要以上に経費を割いているなど、資金繰りの悪化にはさまざまな要素が影響します。これらを一つひとつ徹底して管理していくことで、資金繰りが改善し、経営を安定させることができます。

補足ではありますが、3カ月ほど先までの支払いができる目処が立っていれば、資金繰りは正常だと考えることができるようです。ただし資金繰りの悪化を未然に防ぐためにも資金繰り対策には継続して取り組むことが大切です。

資金繰りを改善するための方法8選

ここでは資金繰りを改善するためにできることを八つ紹介します。

1. 資金繰り表を作成する

資金繰り表とは企業や個人の一定期間の収支(入ってくるお金)と支出(出ていくお金)を見える化した表で、細かな変化を逃さないためにも1カ月ごとに作成することが理想的です。

資金繰り表には過去の実績をもとに作る「実績資金繰り表」と、将来の資金繰りを予想して作る「予定資金繰り表」の二種類があります。どのような支出を削減できるかなど、資金繰り悪化の原因探しには前者が役立ちます。ただし資金繰りの悪化を未然に防ぐためにも、後者も合わせて作成しておくといいでしょう。

また、資金繰り表のほかにも一定期間の利益がわかる「損益計算書(P/L)」や、企業や個人の資産を把握できる「貸借対照表(B/S)」の仕組みや作り方も理解しておくと資金繰り改善に役立ちます。詳しくは以下の記事から読むことができます。

»» 損益計算書(P/L)の「わからない」を9分で解消!
»» 9分で学ぶ!賃借対照表(B/S)の役割・読み方・活用法

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2. 経費を削減する

資金繰り表をもとに、どのような経費を削減できるかを見てみましょう。

このとき、どのような経費にいくらかけているかがすぐに把握できるよう、資金繰り表には項目をできるだけ細かく作って経費を記録しておくことが大切です。

以下は一案です。

販売費:販売員の人件費、旅費交通費、通信費、広告宣伝費、販売手数料など
一般管理費:事務職の人件費、福利厚生費、事務にかかる減価償却費、消耗品費、交際費など

経費削減方法は「スモールビジネスも個人事業主も活用できる!経費削減10の方法」の記事でも紹介しているのでご参考ください。

3. 仕入・販売コストを見直す

商品の仕入れ先にこだわりを持っているビジネスであれば妥協したくない部分ではあるかもしれませんが、より低い原価で商品、あるいは商品を作るための原材料を調達できる仕入れ先に変えることも資金繰りの改善には役立ちます。仕入れ先をどうしても変えたくない場合には販売コストを上げることも視野に入れる必要が出てくるでしょう。

仕入・販売コストを見直すのもそうですが、思い切って利益率の高い製品の販売に力を入れてみるのも一案です。

4. 過剰在庫を見直す

需要以上の在庫を抱えることを指す「過剰在庫(余剰在庫)」にはさまざまなデメリットがあります。たとえば倉庫に保管している場合は保管費用がかかるうえ、賞味期限があるなど販売期間が限られている商品は、期間内に販売できなければ廃棄せざるを得なくなるでしょう。廃棄してしまえば、いうまでもなく売り上げは出せなくなってしまいます。このような事態を回避できるよう、在庫は常に適切な数を保っておくことが資金繰りの改善には重要です。

SquareのPOSレジを使うと無料で在庫管理ができるうえ、在庫数が指定したしきい値を下回るとメールやアプリなどを通じて通知を受けることができます。常に在庫数を把握し、適切なタイミングで発注できるような仕組みを整えておくことも、過剰在庫を防ぐうえでは大切です。

※Squareで在庫状況の通知を受けるには、在庫管理機能を使って在庫数を追跡するの記事をご確認ください。

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5. 「早めの入金、遅めの支払」に設定する

仕入れ先への支払日の前に売上額や売掛金を確保できるような仕組みが整っていれば、手元の資金が不足する可能性も低くなるでしょう。支払いを延ばすためには、取引先に支払期限を伸ばせないか交渉するのも一つの手です。また、経費は支払いを翌月に先延ばしできる法人向けクレジットカードを活用し、その間に売り上げや売掛金を回収するような仕組みを整えておくといいかもしれません。

店舗やネットショップなどでキャッシュレス決済を受け付けている場合は、決済サービスの入金サイクルをいま一度確認してみましょう。入金サイクルは決済サービスごとに大きく差が出る点で、二カ月に一度売上額を入金するサービスもあれば、Squareのように最短翌営業日に売上額を振り込むサービスもあります。このように入金サイクルの短いサービスに移行することも、資金繰りをよくするためには検討したいことです。

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6. 不要な資産を売却する

経済価値のある資産を売却し資金調達をすることも、資金繰り改善の方法の一つです。資産の中には売却できるものとできないものがありますが、以下に売却できるものをいくつか挙げます。

  • 売掛金(ファクタリングを利用する)
  • 商品
  • 原材料
  • 有価証券
  • 土地
  • 建物
  • 機械
  • 備品
  • 車両
  • 投資有価証券
    など

自社で不要な資産を抱えていないかを一度洗い出してみるのもいいかもしれません。

7. 仮決算による中間申告を行う

法人税の負担を減らすには、「仮決算による中間申告」を行う手があります。通常であれば、法人は事業年度開始から半年が経過した時点で税額を中間申告し、納付する必要があります。具体的には、事業年度開始日から6カ月経過した日から2カ月以内が納付期限です。

予定申告では、納付額は基本的に前事業年度の税額を基準に計算しますが、当年度の業績が前年度に比べて悪化してしまった場合、負担が大きく感じてしまうこともあるかもしれません。

仮決算による中間申告を行うと、当年度の事業開始日から6カ月間の課税所得をもとに中間納付額を算出することができるので、必要以上に多くの税額を納めることを防ぐことができます。

ただし後者の税額が予定申告による税額を上回る場合は仮決算による中間申告を行うことはできません。

8. 資金を調達する

資金繰りを改善するには、資金を調達する必要もあるかもしれません。資金の調達方法には以下の方法が挙げられます。

  • 国や地方公共団体から公的融資を受ける
  • 金融機関から融資を受ける
  • 金融機関のビジネスローンを利用する
  • 国や地方自治体の補助金・助成金に申し込む
  • クラウドファンディングを実施する
  • エンジェル投資家(個人投資家)から出資を受ける
  • 中小企業ファンドから投資を受ける
    など

1から7までの方法で資金繰りが改善しそうにない場合は、これらの資金調達方法を検討してみるといいでしょう。

資金を上手に回すのも経営者の大事な業務です。計画的に在庫管理や資金繰りを行い、収益と損失の現状を資金繰りの観点からも捉えるようにしましょう。

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執筆は2017年12月19日時点の情報を参照しています。2022年1月19日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash