新規事業の開業資金に活用したい補助金・助成金を紹介

新しく事業を始めようと考えている人の中には、開業資金や運転資金など、お金がネックとなって一歩を踏み出せないという人もいるのではないでしょうか。

日本政策金融公庫の「2022年度新規開業実態調査」では、開業資金が500万円未満の人が4割以上を占め、250万円未満で開業する割合も増加していることが報告されています。500万円以上を開業に費やすのが一般的であったころに比べると、新しく事業を始めることのハードルも下がったのではないでしょうか。それでも、金銭的負担はできる限り減らしたいところでしょう。

今回は新規事業を始めたい人が利用でき、返済義務が発生しない点が特徴である補助金と助成金を紹介します。また、すでに事業を始めた人でも利用できる助成金と補助金についても紹介します。

参考:「2022年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~(2022年11月30日、日本政策金融公庫総合研究所)

目次



新規事業補助金・助成金とは

新しく事業を始める個人事業主や企業を対象とした補助金や助成金です。

補助金や助成金を利用するにはさまざまな要件があり、その要件を満たしている必要があります。要件を満たしていたら、必要書類をそろえて担当機関に提出します。担当機関での審査を経て交付されるかどうか決定されます。交付が決定してもすぐに入金される訳ではない点には注意が必要です。

また、補助金や助成金には補助率が決まっているものも多く、たとえば新規事業のために300万円が必要で、補助率2/3の補助金や助成金に申請を出すとします。この場合、補助金や助成金で支払われるのは300万円の2/3、つまり200万円となります。補助金や助成金は、後払いとなることがほとんどなので、300万円をいったん自己資金でまかなわなくてはならないことを覚えておきましょう。

助成金の認知は?

Chatwork株式会社が行った「助成金に関するアンケート」によると、助成金の認知度は9割以上ありながら、申請したことがある人は2割強でした。利用しなかった理由には「自社にマッチする助成金がわからない」「難しそう」などが挙げられています。

参考:【Chatwork調査結果】9割以上の企業、国や自治体の「助成金制度」を認知するも、申請率は約2割(2020年1月16日、Chatwork株式会社)

補助金と助成金の違いとは

物件探しや名前・ロゴ決め、商品選び……新規事業の構想を練るのは心が踊るものですが、開業費用の調達方法に目を向けた途端、頭を抱えてしまう人も少なくないでしょうか。補助金と助成金は両者とも返済義務がないところが魅力ですが、補助金は助成金と異なり受給できないケースもあるなど、性質が異なるので、下記の表から特徴を確認しておきましょう。

  補助金 助成金
担当省庁 主に経済産業省、地方自治体 主に厚生労働省、地方自治体
交付条件 各補助金の要件を満たし、審査を通過すること 各助成金の要件を満たすこと
応募期間 ・国の予算によって内容が決まるため、年度ごとに異なる
・1カ月から3カ月ほどの短期間で締め切られるものが多い
締め切り時期は特定されていない。ただし予算がなくなり次第締め切られる
審査の流れ 書類審査に合わせて、面談を設けるものもある 原則、書類の不備や要件を満たしているかの確認のみ
交付時期 ・補助内容を満たしているかの審査に合格後
・最短で申請から2カ月から半年、一般的には1年半ほど
・要件を満たしているかの確認を終えたあと
・最短で申請から2カ月から半年、一般的には1年半ほど
支給額 補助金による 助成金による
その他注意点 補助金によっては交付後、5年程度は事業状況を報告する必要があるものも 助成金によっては交付後、5年程度は事業状況を報告する必要があるものも

補助金・助成金を使用するメリット

資金の支援

新規事業の立ち上げや拡大には多くの資金が必要となります。補助金や助成金を利用することで、自己負担を軽減できるのは、大きなメリットといえるでしょう。補助金や助成金は、設備投資費用や研究開発費用、人件費など、事業運営に必要な経費の一部を補填するものですが、使用用途が決まっていることがほとんどです。事業に何が必要なのか、どの補助金や助成金がいいのか検討して申請しましょう。

リスクの軽減

新規事業の立ち上げや拡大にはリスクがつきものです。補助金や助成金は返済不要なので、万が一、新規事業への投資が失敗に終わっても、その一部が補助金で賄われることになればリスクの軽減につながります。

信頼性の向上

補助金や助成金は誰でももらえるものではありません。国や地方公共団体が定める基準をクリアし、策定した事業計画の価値が認められて受給が決まります。補助金や助成金を受給した実績があるということは、企業や事業に信頼性があるということの証でもあります。こうした信頼性が向上することは、銀行からの融資の受けやすさにもつながります。

新規事業・創業に利用できる補助金・助成金

新規事業や創業に利用できる補助金や助成金は、各地方の商工会や自治体、行政関連団体が窓口となっていることが多いようです。この章では、小規模事業者持続化補助金の「創業枠」と、これから東京都で創業、開業を目指す人が利用できる助成金を紹介します。そのほかの地方については、J -Net21の支援情報ヘッドラインで検索できます。

小規模事業者持続化補助金の創業枠

小規模事業者持続化補助金は、基本的にはすでに事業を行っている事業者を支援するものですが、中には「創業枠」という類型が設けられています。この創業枠に応募するには、市区町村が実施する「特別創業支援等事業」の支援を受けて創業することが条件となります。これから創業を考えている人は、市町村の窓口に問い合わせてみるといいかもしれません。すでに事業を始めているという人は、後述する小規模事業者持続化補助金の項目も確認してください。

参考:商工会議所地区小規模事業者補助金

幅広い用途に利用できる創業助成事業(東京都)

東京都と東京都中小企業振興公社が実施している助成金です。都内で起業予定、もしくは起業間もない個人や中小企業が対象で、賃料、広告費、従業員の人件費など、創業初期に必要な経費の一部が助成対象となります。

申請には、要件を満たしているだけでなく、東京都中小企業振興公社などが実施する19の「創業支援事業」のいずれかを利用しなくてなりません。創業支援事業の中には、修了までに数カ月程度かかるものもあるので、申し込みを検討するのであれば、早めに準備を進めましょう。

助成区分 助成率 助成額
賃料、広告費、従業員などの人件費など 3分の2 100万円から300万円

参考:創業助成事業(公益財団法人東京都中小企業振興公社)

工事費やテナント料が助成される商店街起業・承継支援事業(東京都)

東京都内の商店街で開業、もしくは事業を継承したり多角化したりするために必要な経費の一部を助成するものです。年齢や性別に関係なく申し込むことができます。後述する「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と併願申請が可能です。

助成区分 助成率 助成限度額
工事費・設備購入費など 3分の2 250万円
実務研修受講費 3分の2 6万円
店舗テナント料 3分の2 1年目:180万円(月額15万円)
2年目:144万円(月額12万円)

参考:商店街起業・承継支援事業(公益財団法人東京都中小企業振興公社)

店舗の新装や改装、設備導入費用が助成される若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)

女性、もしくは2024年3月31日時点で39歳以下の男性が申し込むことができる助成金です。都内の商店街で新規開業する場合に、店舗の新装や改装、設備導入に必要な経費の一部が助成されます。都内に限らず実店舗を持っていないことが条件です。対象となる事業も限られていて、小売店や飲食店、サロンなどが対象となります。自分の起こしたいビジネスが該当するかどうかは、特設サイトで確認することができます。上述の「商店街起業・承継支援事業」との併願申請ができます。

助成区分 助成率 助成限度額
工事費・設備購入費など 4分の3 400万円
実務研修受講費 3分の2 6万円
店舗テナント料 4分の3 1年目:180万円(月額15万円)
2年目:144万円(月額12万円)

参考:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(公益財団法人東京都中小企業振興公社)

創業済みの事業者が利用できる補助金・助成金

個人事業主も申し込める小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が事業の維持や継続をすることを目的とした補助金です。小規模事業者とは、従業員数が5人から20人の会社や個人事業主を指します。商工会もしくは商工会議所の支援を受けて申請します。通常枠が一つと、特別枠が四つ用意されていて、いずれか一つの枠のみ申請が可能です。

(1)チラシ作成など幅広い用途に利用できる通常枠

事業者が自分で作成した経営計画をもとに、商工会や商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓を支援します。補助率は2/3で、上限額は50万円です。幅広い項目を支援するのが特徴で、チラシ作成・配布、看板の設置、展示会・商談会の出展料、展示会に行く際の旅費、新商品の試作品開発経費などさまざまです。詳しくは、全国商工会連合会の小規模事業者持続化補助金のページで確認してください。

(2)従業員の時給を上げるなら賃金引上げ枠

事業所の最低賃金を地域別の最低賃金よりも30円以上上乗せした事業者を補助します。補助率は2/3で、上限額は200万円です。赤字事業者の場合は、補助率3/4になります。

(3)事業規模を拡大するなら卒業枠

小規模事業者は、常時使用する従業員数が、飲食店やサービス業で5人以下、宿泊業や娯楽業で20人以下、製造業で20人以下となっています。この従業員数を超えて規模を拡大しようとする事業者を補助するのが、卒業枠です。補助率は2/3、上限額は200万円です。

(4)将来的に事業承継するなら後継者支援枠

中小企業庁が主催する「アトツギ甲子園」でファイナリストとなった事業者を支援します。補助率は2/3で、上限額は200万円です。

(5)これから創業するなら創業枠

市区町村などが行っている「特別創業支援等事業」の支援を過去3年以内に受けて創業した事業者を補助します。補助率は2/3、上限額は200万円です。

類型 通常枠 賃金引上げ枠 卒業枠 後継者支援枠 創業枠
補助率 2/3 2/3 2/3 2/3 2/3
補助上限 50万円 200万円 200万円 200万円 200万円

「IT導入支援事業者」と協力して申請するIT導入補助金

中小企業、個人事業主を含む事業者がITツールを導入する際に活用できる補助金です。この補助金は、納税証明書を提出する必要があるので、「これから開業する」という事業者は利用できません。「IT導入支援事業者」と協力して申請する補助金で、補助対象となるものによって五つの枠が設けられています。それぞれについてみていきましょう。

(1)ソフトウェア購入費などに利用できる通常枠

費用の1/2、最大450万円が補助されます。業務効率化のためのソフトウェア購入費、クラウド利用費などが補助対象となります。

枠名 通常型 通常型
類型名 A型 B型
補助事業者 中小企業・小規模事業者 中小企業・小規模事業者
補助額 5万円から150万円未満 150万円から450万円以下
補助率 1/2以内 1/2以内

(2)セキュリティー対策に利用できるセキュリティ対策推進枠

情報セキュリティーに関する事故や事件が原因で事業の継続ができなくなることを避けるため、「サイバーセキュリティお助け隊」に掲載されているサービスを導入する中小企業や小規模事業者が利用できる補助金です。「サイバーセキュリティお助け隊」のサービスリストは、こちらで確認できます。

枠名 セキュリティ対策推進枠
補助事業者 中小企業、小規模事業者など
補助額 5万円から100万円
補助率 1/2以内
対象経費 サービス利用料(最大2年分)

(3)ソフト購入費などを補助するデジタル化基盤導入枠

インボイス制度も見据えたデジタル化を推進するために、会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトなどを導入した中小企業、小規模事業者を対象とした補助金です。パソコンやタブレット、券売機などの購入も対象となります。三つの類型があり、それぞれの内容は以下のようになります。

商流一括インボイス対応類型:インボイス制度に対応している受発注機能のあるITツールを導入し、生産性の向上とインボイス制度の対応に取り組む事業者向けです。

デジタル化基盤導入類型:会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトなどのITツールに加えて、パソコン、タブレット、レジや券売機を導入し、生産性の向上に取り組む事業者向けです。
複数社連携IT導入連携型:10者以上の中小・小規模事業者が連携してITツールを導入し、地域DXや生産性の向上に取り組む事業者向けです。補助事業者は商店街振興組合や商工会などの商工団体、街づくり会社などの中小企業者や団体です。

類型名 商流一括インボイス対応類型 デジタル化基盤導入類型 複数社連携IT導入類型
補助事業者 中小企業、小規模事業者など 中小企業、小規模事業者など 商工団体や街づくり会社など
補助対象 インボイス制度に対応し、受発注機能もあるITツール ITツール、パソコン、レジなど ITツール、パソコン、レジ、事務費や専門家費などその他の経費
補助額 350万円まで ITツール:350万円まで
パソコン:10万円まで
レジ:20万円まで
ITツール:350万円まで
パソコン:10万円まで
レジ:20万円まで
その他の経費:50万円×グループ構成員
補助率 中小企業、小規模事業者:2/3以内
その他の事業者:1/2以内
ITツール:50万円以下の場合3/4以内、50万円から350万円2/3以内
パソコン、レジ:1/2以内
ITツール:50万円以下の場合3/4以内、50万円から350万円2/3以内
パソコン、レジ:1/2以内
その他の経費:2/3

申請の大まかな流れなどは、「IT導入補助金の概要や申請の流れ・方法について解説」の記事も参考にしてみてください。

参考:​​​​​IT導入補助金2023(中小企業庁)

非正規社員の待遇向上に利用できるキャリアアップ助成金

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規社員のキャリアアップ促進を目的とした助成金が「キャリアアップ助成金」です。パートやアルバイト従業員を正社員に登用したり、賃金の見直しをしたり、待遇改善に取り組んだ事業者に支給されます。非正規社員の正社員化や賃金の改定など処遇の改善を検討している事業者におすすめです。取り組む内容によって五つのコースが用意されています。

(1)非正規社員を社員にするなら正社員化コース

非正規雇用の従業員を正社員にした場合に支給されます。「派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する」など、条件によっては加算額があります。

1人あたりの支給額

  有期雇用の非正規社員 無期雇用の非正規社員
中小企業 57万円 28万5,000円
大企業 42万7,500円 21万3,750円

加算額

措置内容 有期雇用の非正規社員 無期雇用の非正規社員
派遣労働者を派遣先で正社員として直接除用する場合 28万5,000円 28万5,000円
母子家庭の母、父子家庭の父を雇用した場合 9万5,000円 4万7,500円
人材開発助成金の訓練を終えた人材を正社員にした場合    
9万5,000円 4万7,500円  
上記のうち自発的職業能力開発訓練もしくは定額制の訓練を修了した人材を正社員にした場合 11万円 5万5,000円
「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」の制度を新しく規定し、非正規社員を正社員にした場合 9万5,000円
(大企業の場合は、7万1,250円)
9万5,000円
(大企業の場合は、7万1,250円)

(2)非正規社員の基本給をアップさせるなら賃金規定等改定コース

有期雇用の非正規社員の基本給を3%以上増額した場合に助成されます。1事業所あたり、中小企業で20万円、大企業で15万円の加算があります。

1人あたりの支給額

  3%以上5%未満 5%以上
中小企業 5万円 6万5,000円
大企業 3万3,000円 4万3,000円

(3)正社員と同じ賃金を払うなら賃金規定等共通化コース

正社員と同じ仕事をする非正規社員に対して、同じ賃金を支払う内容の賃金規定を作成した事業者に交付される助成金です。支給額は中小企業で60万円、大企業で45万円です。

(4)賞与・退職金制度導入コース

賞与・退職金制度を非正規社員に対して導入した場合に交付される助成金です。支給額は、以下のようになります。

  賞与または退職金制度を導入 賞与と退職金制度を同時に導入
中小企業 40万円 56万8,000円
大企業 30万円 42万6,000円

(5)短時間労働者労働時間延長コース

有期雇用の非正規社員に対して労働時間を延長し、新たに社会保険の非保険者にした場合に交付されます。

週所定労働時間を3時間以上延長した場合

  週所定労働時間を3時間以上延長
中小企業 23万7,000円
大企業 17万8,000円

週所定労働時間を延長し、基本給を増やした場合

  1時間以上2時間未満の延長
(10%以上の増額)
2時間以上3時間未満の延長
(6%以上の増額)
中小企業 5万8,000円 11万7,000円
大企業 4万3,000円 8万8,000円

参考:キャリアアップ助成金(厚生労働省)

そのほかにも年度を通してたくさんの補助金・助成金の公募があります。補助金に関しては中小企業庁のホームページにて募集情報を公開しているようです。また、最新の募集情報は以下のようなサイトからも確認できます。

J-Net 21
制度を探す(制度ナビ)(ミラサポplus)

申請から交付までの流れを押さえておこう

申請から交付までの期間は補助金や助成金によっても異なりますが、おおまかな流れは以下の通りです。

助成金の場合……
(1)支給要件に沿った実施計画を提出する
(2)交付が決定する
(3)計画を実施する
(4)中間・完了報告をする
(5)中間・完了検査を受ける
(6)助成金確定通知が送られる
(7)助成金の支給申請をする
(8)助成金が支給される

参考:仕組み・ポイント(助成金の流れ)(東京都中小企業復興公社)

補助金の場合……
(1)申請書類を提出する
(2)審査・採択が行われる
(3)事業者が交付申請をする
(4)交付が決定する
(5)事業を実施する
(6)中間審査を受ける
(7)実績報告を行う
(8)確定検査を受ける
(9)補助金額を請求する
(10)補助金が支給される

参考:補助金・助成金(ミラサポplus)

覚えておきたいのは、事業実施前に給付を受け取ることはできないという点です。いずれも担当機関に経費を報告し、その金額を基に支給されるので、給付までは多少の時間が空きます。

複数の補助金&助成金の受給は可能?

補助金や助成金は税金を財源としているため、複数の受給は原則認められないものが多いようです。たとえば対象となる経費が重複する場合などは難しいでしょう。とはいえ、補助金や助成金の事業内容によっては複数受給できるものもあるので、申請をする際は必ず担当省庁に確認をしましょう。

参考:補助金等を交付する際の条件について(厚生労働省 九州厚生局)

書類の作成は申請代行依頼も可能

新規事業を立ち上げようという人の中には、店舗を構えようと考えている人もいるでしょう。「店舗開業に必要な費用とは。節約方法も教えます」の記事でも紹介した通り、物件取得費用は決して安いものではなく、飲食店舗などの場合は特に保証金が高くつくものです。このように費用がかさむ店舗の賃借料なども補助・助成してもらえる事業をタイミングよく見つけられればうれしいところですが、用意しなければいけない書類も多く、準備作業を大変に感じるビジネスオーナーもいるかもしれません。たとえば以下のような資料が必要となります。

提出しなければいけない書類は申請する補助金や助成金によって異なります。ただし書類の提出漏れがあると提出日に間に合わなくなってしまったり、最悪の場合、審査対象から外されてしまったりする可能性もあるので、提出する際は抜けがないかよく確認をしましょう。

「自ら書類を準備するのは漏れがありそうで不安」「そもそも書類を用意している時間がない……」という場合は、専門家への申請代行を視野に入れてみるといいでしょう。助成金は原則、社会保険労務士(社労士)に依頼する形になります。補助金の場合は、認定支援機関に認定されている商工会や商工会議所、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士、行政書士などを含む「専門家」に依頼をしましょう。代行費用は、2万円から10万円ほどが相場のようです。

補助金や助成金の計上方法

補助金や助成金から得た収入は、どのタイミングで、どのように計上するのでしょうか。

補助金や助成金は一般的に「雑収入」として仕訳をし、基本的には「支給決定通知書」が到着したタイミングで計上します。一方で、決算期内に入金されるのか、決算期をまたいでの入金になるのかによって計上方法が異なるので、下記の表を参考にしてみてください。

「支給決定通知書」を受け取り、決算期内に補助金・助成金が入金される場合は下記のように計上

借方 金額 貸方 金額
預金(普通・当座) 100万円 雑収入 100万円

「支給決定通知書」を受け取ったが、補助金・助成金の入金日が決算期を超えてしまう場合
(1)まずは未収入金として計上

借方 金額 貸方 金額
未収入金(補助金、あるいは助成金) 100万円 雑収入 100万円

(2)決算期後、受給時に下記のように計上

借方 金額 貸方 金額
預金(普通・当座) 100万円 未収入金(補助金、あるいは助成金) 100万円

また、補助金と助成金はいずれも法人税の課税対象となります。つまり補助金や助成金は「収益」として計算され、そこから「費用」を引いて出した「利益」が通常通り、課税対象とされます。一方で補助金と助成金は消費税の課税対象ではありません。

参考:消費税のしくみ(国税庁)

万が一補助金・助成金の申告が漏れてしまうと、加算税の一つである「過少申告加算税」が課され、逆に損失をもたらしてしまうので注意しましょう。加算税についてはこちらでも詳しく説明しています。

返済義務が発生しない点が特徴である補助金・助成金。ものによっては店舗の新装・改装費用や、広告費、人件費を補助・助成してくれる事業もあり、開業前に給付してもらうことはできないものの、後の資金繰りに生かすことができます。締め切りに間に合うことを確認したうえで、活用を検討してみてはいかがでしょうか。次は補助金や助成金と併用したい融資を紹介します。

補助金・助成金の利用と同時に経理業務の効率化を

補助金や助成金の計上方法の項目でも紹介したように、補助金と助成金はいずれも課税対象になります。また、事業を行うのであれば、個人事業主であれ法人であれ確定申告が必要になるので、売り上げの記録は普段からとっておくことが必要です。そこでおすすめなのが、決済代行会社SquareのSquare POSレジです。無料のアカウントを作るだけで利用することができ、決済や取引履歴もすべてひと目で確認できます。自社や自店舗の売り上げを簡単に集計することができ、経理にまつわる業務の手間を少なくすることができます。

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また、Squareは、マネーフォワードをはじめとする大手会計ソフトウェアとの連携もできるので、帳簿作成や管理の手間も簡略化でき、普段の経理業務や確定申告時の負担を軽減することができます。

新規事業を立ち上げる時には、何かと資金が必要となるものです。また、新規事業ではなくても、新しい制度や機械、設備を導入する場合にも資金が必要になります。補助金や助成金を活用して事業を成長させ、成功に導きましょう。


続けて読もう!融資を活用しよう

(1) 開業に発生する費用とは
(2) 補助金・助成金を活用しよう
(3) 融資を活用しよう
(4) クラウドファンディング・ビジネスコンテストにチャレンジしてみよう

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執筆は2019年11月26日時点の情報を参照しています。2023年6月26日に情報の一部を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
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