労働基準法、守れていますか?今すぐ確認したい6つのポイント

労働基準法の歴史は古く、制定されたのは70年前(1947年制定)になりますが、労働行政の現状(全労働省労働組合 2015年5月)を見ると、近年の労働基準法等の違反率は65%以上という報告があり、日本国内における労働者の労働条件が十分に確保されているとはいえない状況です。

労働基準法は、労働者(従業員)の権利を守るためや、労働者と使用者(経営者)間の認識の相違を防ぐために参照されることがよくありますが、使用者にとっても、雇用している労働者が健全に働くことができる環境を、責任持って確保できているかどうかを判断するための重要な基準となっています。また、労使関係など職場で起こるさまざまな問題に対処する際、正しく労働基準法を理解しておくことは必須です。

今回は、事業の場で労働環境の管理責任者となる使用者が、労働基準法に則った管理条件を守れているかを確認するために、特に重要な6つのポイントまとめました。

目次



ポイント1 労働条件の明示

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労働者を雇用するときに、労働条件の明示はしていますか。

使用者は労働者に対して、賃金、労働時間などを含めた労働条件を明示しなければなりません。契約締結後に契約内容と事実との間に相違が生じた場合、労働者は労働契約を解除することができます。(労働基準法第二章)

賃金や労働時間についてなど、項目によって明示方法が異なるので、労働基準法と併せて労働基準法施⾏規則も確認しておく必要があります。

将来、一緒に事業を盛り上げていくことになる仲間を雇用するのですから、誰もが気持ち良く働ける労働条件を明示し、しっかり同意が取れるまで確認を徹底しましょう。

労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。後のトラブルを防ぐためにも、全ての労働者と使用者との間で共通の認識がされていることを確認します。

また、労働者が自分の意思または解雇を理由に退職した際、行った業務の期間、内容、退職理由などについての証明を求められる場合があります。この際、使用者は希望者に対して即座に該当する書類を交付する義務があることを忘れないようにしましょう。労働時間の記録に関する書類は、最低三年間保存することが義務付けられています。

ポイント2 賃金支払いの5原則

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賃金支払いの5原則を守っていますか。

賃金は、”通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければ”ならなく、”毎月一回以上一定の期日を定めて支払わなければ”なりません。(労働基準法第三章)

売り上げが思うように確保できなかった月などに、使用者の勝手な判断で当月分の賃金の支払いを翌月以降に延滞するといったことは認められません。賃金の支払日は、「毎月20日」など毎月1日から末日まで最低1回以上一定の期日を定める義務があり、この内容は雇用時に労働者に明示する労働条件に含める必要があります。

賃金の最低基準に関しては、最低賃金法を遵守する義務があり、各都道府県ごとに定められている金額を把握しておく必要があります。

他にも、使用者や会社の都合で休業をする場合、使用者は労働者に対して休業手当を払う義務などがありますが、賃金に関する条件は使用者にとっても労働者にとっても特に重要な項目なので、誤解や不確定要素がないように明確に理解しておきましょう。

ポイント3 労働時間の管理

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労働時間は正確に管理していますか。

全ての労働者の労働時間が法律で定められている上限を超えないように勤怠管理を徹底しましょう。原則、1日8時間、1週間40時間が上限とされています。1日の労働が6時間を超える場合は、45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を使用者は労働者に与えなければなりません。(労働基準法第四章)

上限時間を超えて労働させる場合は、事前に労使協定(36協定)を結び、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。時間外・休日労働に関する協定届(36協定)

なお、時間外労働をさせた場合、通常賃金を2.5割増で支払うなど、労働させる時間帯によって賃金が異なることも把握しておかなければなりません。深夜労働や休日労働など、それぞれの場合の賃金の計算方法を理解しておきましょう。残業や休日出勤を想定して、支払い賃金を出すシミュレーションをしてみてもいいかもしれません。雇用時に労働者に明示する内容にも含めて、後のトラブルを防ぎます。当然、時間外労働時間にも上限があることを忘れてはいけません。(詳しくは、労働基準法第四章「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」を参照)

また、「どれくらい労働させたか」だけでなく、「どれくらい休暇を与えたか」も使用者の責任になります。毎週少なくとも1日、4週間を通じて4日以上の休日を与える義務、勤務期間に応じて有給を支給する義務などが挙げられます。

限度を超えた長時間労働は、労働者にとって肉体的にも精神的にも大きな負担となります。また、使用者にとっても責任の追求、労働環境の見直し、労働力の損失など大きなダメージをもたらす原因となります。よくある事例として、自己申告制による勤怠管理の不徹底による未払い賃金や過重な長時間労働の発生があります。労働時間や賃金に関する認識違いなどは、健康被害だけでなく、使用者と労働者との間の労使問題に発展する可能性もあります。

このような事態を事前に避けるためにも、労働者一人ひとりの就業時間を正確に把握・管理し、相応の支払いを徹底していかなければなりません。労働基準法に違反するような働き方をしている労働者がいないことを常に把握するために、タイムカードを導入したり使用者の目視による確認を徹底させたりする必要があります。厚生労働省は、労働時間の正確な把握のために、使用者が講ずべき措置に関する基準を提言しています。

タイムカードの押し忘れや、目視ができなかった場合に備えて、従業員管理を手助けするシステムの導入を検討することも、適切な労働条件を保つための一つの手段といえるでしょう。Squareのアカウントをお持ちであれば、従業員の出退勤時間を記録できるスタッフ管理機能をお使いいただけます。同一アカウント上で全ての従業員の就業時間が一元管理されるので、使用者はいつでもどこからでも確認することができます。

参考記事:スッキリ勤怠管理!タイムカードの押し忘れをゼロにする方法

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ポイント4 労働者の安全と健康の確保

労働者の定期健康診断の受診を義務付けていますか。

労働基準法第五章「安全及び衛生」に該当する項目は、1972年に労働安全衛生法として切り離されました。”職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的”として制定された法律で、使用者は条件を満たしている労働者に対して、雇用時と年に一度の定期健康診断を受けさせる義務があり、また労働者には受診義務があります。


ポイント5 年少者の雇用

年少者(満18歳未満)の雇用は適切ですか。

原則、中学生以下の者を働かせてはいけません。労働時間の上限は、1週40時間、1日8時間であり、基本的に時間外労働や休日労働を命じることは禁じられています。また、午後10時から翌朝5時の時間帯に労働を命じることも原則禁止されています。(労働基準法第六章)

本人の同意がある場合や、周囲の暗黙の了解があっても、法律違反には変わりありません。責任もって労働条件を守りましょう。

ポイント6 就業規則の届け出

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就業規則を所轄労働基準監督署に届け出ていますか。

常時労働者が10人以上いる場合、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。就業規則には最低でも次の項目を記載しなければなりません。

  • 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇に関する事項
  • 賃金の決定方法及び支払い時期などに関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

その他にも、退職手当、賞与などについて定めがある場合は全てを記載します。

また、届け出る際は、労働者代表の意見書を添える必要があります。労働者代表とは、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、これに該当するものがない場合は労働者の過半数を代表する者を指します。使用者には、就業規則の作成または変更の際に、労働者代表の意見を聴く義務があります。


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執筆は2017年3月7日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash

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