現金での支払いが多いといわれる日本でも、クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレス決済を推進する動きがあります。今回は、2025年までにキャッシュレス決済率40%という目標を定めた、キャッシュレス・ビジョンについて紹介します。
目次
キャッシュレス決済とは
経済産業省が2018年4月に策定した「キャッシュレス・ビジョン」において、キャッシュレスは「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」と定義されています。
キャッシュレス決済の例として、クレジットカードや電子マネー、モバイル決済などが挙げられます。
日本ではこれらのキャッシュレス決済の利用が拡大しているものの、引き続き現金志向が強く2016年の段階でキャッシュレス決済比率は19.8%にとどまっています。一方で、海外に目を向けると、各国のキャッシュレス決済比率は韓国の96.4%をはじめとし、イギリスが68.7%、オーストラリアが59.1%となっています。
参考:キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識(株式会社野村綜合研究所)
2025年までにキャッシュレス決済を普及
経済産業省は「キャッシュレス・ビジョン」において、現在は20%程度のキャッシュレス決済比率を、2025年までに40%程度に引き上げることを目指すという「支払い方改革宣言」を発表しました。
もともとは、「未来投資戦略2017」において2027年までに目指すとされていた目標が、大阪・関西万博に向けて2年前倒しになった形です。
日本では、2025年までの間に国際的なイベントが数多く予定されています。2019年には、アジア初開催となるラグビーワールドカップ、2020年には東京大会、そして2025年には、支払い方改革宣言にも言及された大阪・関西万博が開催される予定です。
このようなイベントの開催期間中には、海外からの観光客も多く来日すると考えられます。日本よりもキャッシュレス決済が普及している国から来る人もいるため、キャッシュレス決済の推進は課題の一つといえます。
キャッシュレスのメリット
政府は2020年までに訪日外国人旅行者数を4,000万人に、そして2030年には6,000万人にすることを目標としています。
また、政府は2020年までに主要な商業施設や観光スポットなどにおける「100 %のクレジットカード対応化」や「100%の決済端末のIC対応」を取り組みとして掲げています。
同時に、経済産業省は「クレジットカードデータ利用に係るAPI連携に関する検討会」を立ち上げ、カード会社とフィンテック企業との連携で新たなサービスの創出などを後押しすべく、検討を開始しました。カードの利便性を向上させ、キャッシュレスにつなげていく考えです。
「キャッシュレス・ビジョン」が掲げる今後の方向性
今後の対応における方向性として、次の五つの事項が示されました。
「実店舗等におけるキャッシュレス支払導入にかかるボトルネック解消」「消費者に対する利便性向上と試す機会の拡大」「支払サービス事業者のビジネスモデル変革を後押しする環境整備」「産官学によるキャッシュレス推進の強化」「新産業の創造」です。
事業の経営者に関わってくるのは、「実店舗等におけるキャッシュレス支払導入にかかるボトルネック解消」です。
「実店舗等におけるキャッシュレス支払導入にかかるボトルネック解消」は、つまり実店舗においてキャッシュレス決済の導入を促進するということです。
導入コストや運用・維持コストについて、気になる事業者もいるのではないでしょうか。
たとえばSquareなら、無料アプリと専用のIC カードリーダー(Square リーダー)を用意すれば、普段お使いのスマートフォンやタブレット端末でクレジットカードやQRコード、電子マネーなどのキャッシュレス決済を受け付けることができます。初期費用はSquare リーダー購入費の7,980円のみで、月額料金は不要です。
今後、政府は「キャッシュレス推進協議会(仮称)」を設立し、示された五つの方向性に伴う具体的な方策の検討や情報発信について、産官学が連携して取り組んでいくとしています。
将来的にはキャッシュレス決済比率を世界最高水準の80%にまで高めることを目指すとしています。いずれはキャッシュレス決済が当たり前の社会になるかもしれません。
事業者がキャッシュレス決済を取り入れるメリット
世界各国に広がり、日本でも導入が推奨されているキャッシュレス決済。では、実際にどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
会計処理が楽になる
キャッシュレス決済は、現金に比べてよりスムーズに会計を行うことができます。現金では、受領した現金の確認、レジへの金額入力、釣り銭の受け渡しなどが必要になります。加えて、現金の数え間違いや入力誤りといったリスクを完全には防ぐことはできません。キャッシュレス化によって、このようなリスクを低減させ、よりスムーズな会計処理を行うことができるでしょう。
現金管理の手間が省ける
キャッシュレス決済は、現金管理の手間を減らすことができます。キャッシュレス決済にすることで、現金と売り上げを照らし合わせるレジ締め処理が不要になります。売り上げはすべてデータ化されるほか、人の手による現金の授受が発生しないため、レジの入力ミスなどが起こりません。今までは、閉店後に長い時間や複数の人員をかけて行なっていた作業がなくなることで、業務効率化につながります。
客数・客単価が上がる
キャッシュレス決済は、客数・客単価のアップが期待できます。キャッシュレス決済を導入した結果、客数及び客単価増効果が一部の企業で見られているようです。
お客様にとっては、手元に現金がなくても商品が購入できるため、購買意欲を削がれる心配がありません。店舗側としても、商品を売るチャンスを逃さずに済みます。
また、訪日外国人旅行者のますますの増加に伴い、キャッシュレス決済に慣れた旅行者が増えることも考えられます。その場合、「Card NG」より「Card OK」の店のほうが、お客様に選ばれる可能性が高いでしょう。キャッシュレスに対応することで、集客力の向上が期待できます。
2025年まで、あと数年。お客様はもちろん、事業者にとってもメリットがあるキャッシュレス決済の導入について、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆は2018年6月7日時点の情報を参照しています。2022年9月1日に記事の一部情報を更新しました。現時点では、タクシー・ハイヤー等での電子マネー決済のご利用はできません。ご了承ください。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash