スマホで完了!クラウド請求書を使う10のメリット

請求書の作成や発送から入金確認まで、個人事業主やフリーランスは自分一人で一連の作業を行うことが多いでしょう。取引先が多くなればなるほど、作成した請求書を郵送し、入金を確認するという作業に費やす時間が増えます。

限られた時間を有効に使い、業務効率を上げるには、請求書にまつわる作業を効率化するのも効果的です。最近ではスマートフォン一つで請求書が作成できるアプリも登場しています。今回は、請求書業務の効率を上げる方法として、メールやスマートフォンで請求書を作って送れるクラウド請求書を紹介します。無料で利用できるSquare 請求書をはじめに、おすすめサービスの特徴も見比べてみましょう。

目次


請求書とは

請求書とは、取引上発生した支払内容を相手に正確に伝え、料金や代金を支払ってもらうための書類です。金銭の授受に関する書類であるため、作成を忘れてしまったり、記載内容に不備があったりすると、取引先から支払いが行われないなどのトラブルに発展してしまう可能性があります。また、証憑書類として事業年度の確定申告書の提出期限翌日から数えて、法人であれば7年間、個人事業主であれば5年間から7年間の保存が義務づけられています。

参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法(国税庁)

請求書の基本フォーマット

請求書のフォーマットや書式は法律などで定められておらず、決まったルールはありません。ただ記載しなければいけない項目には決まりがあります。国税庁は記載事項として、五つの項目を挙げています。

  1. 請求書作成者の氏名または名称
  2. 取引年月日
  3. 取引内容
  4. 取引金額(税率ごとに区分する)
  5. 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

上記以外にも、取引を滞りなく進めるために記入したほうがいい項目があります。

  • 発行日
  • 振込先情報
  • 支払い期限
  • 請求書番号
  • 適格請求書発行事業者の登録番号

おおまかには、書類作成者の情報や取引先の情報を先に、次に取引内容を記載することが一般的です。以下のイメージを参考にしてください。

jp-blog-invoice001

記載項目をもとに自ら作ることもできますが、基本的にはテンプレートやクラウド請求書サービスを活用するほうが一般的でしょう。テンプレートなどには前述の記載事項が揃っているので、一つひとつ指示通りに入力していけば請求書が完成します。必要な情報が全部揃っているだろうか……と心配して何度も見直したりする手間がかからないので、一から作るのと比べると遥かに楽でしょう。Squareでは請求書の無料テンプレートも、クラウド請求書サービスも提供しています。詳しくは次項で説明します。

▶︎Squareの請求書テンプレートを使う
▶︎Square 請求書を使う

請求書作成の流れ

alt text

請求書を作成する工程はおおまかには以下の通りです。

郵送の場合:

  1. 請求金額の確定
  2. 請求書作成
  3. 印刷
  4. 送り状とともに封入
  5. 郵送
  6. 控えの保管

メールで送信する場合:

  1. 請求金額の確定
  2. 請求書作成
  3. 取引相手のメールアドレスに送信
  4. 控えの保管

前項で紹介したSquare 請求書を使うと、クレジットカード決済機能付きの請求書を発行することができます。

「クレジットカード決済機能付きの請求書」をはじめて聞く人もいるかもしれませんが、請求書に記載されたリンクから、クレジットカードで請求額を支払える請求書のことです。前述の記載項目がすべて揃っているのはもちろんのこと、2023年10月に施行されたインボイス制度で求められる適格請求書にも対応しています。

Square 請求書は何枚作成しても無料。取引先がクレジットカードで請求額を支払ったときにだけ、決済手数料が発生します。もちろん口座情報を記載して、銀行振込を促すこともできます。取引先が銀行振込で支払った場合、Square側の手数料は発生しません。

▶︎Square 請求書について詳しく

郵送の場合も、メールで送信した場合も、控えの保管が求められます。

クラウド請求書を使う10のメリット

alt text

(1)作業効率が上がる

表計算ソフトや会計ソフトなどを使って作成することもできますが、毎回手作業で請求書番号を割り振り、金額や請求内容を入力するのはミスの発生につながりやすくなり、時間もかかります。事前に請求先情報や金額、品名などを登録しておけば、必要な項目を選ぶだけで簡単にミスなく作成できます。入金情報の確認もオンラインでできるため、未回収金の把握をはじめとした経理業務も楽になります。請求書はメールで相手に送れるので、印刷・発送の手間が省けるのもメリットです。郵送を代行してくれるサービスを使えば、「紙で送ってほしい」という取引先にも対応できます。

(2)いつでもどこでも利用できる

インターネットに接続できる環境であれば、時や場所を選ばず利用できるのが特徴です。作成した請求書のデータはクラウド上に保存されるので、同じ内容を請求する際には簡単に複製できて、パソコンやスマートフォンを買い替えても問題なく請求書を作ることができます。

(3)支払状況が自動で更新される

支払いが完了すると、支払状況が自動で更新されるクラウド請求書サービスも少なくありません。たとえばSquare 請求書なら、取引先がクレジットカードで支払った請求書に関しては「支払い済み」など、ステータスが自動、かつリアルタイムで更新されます。未払い、期限超過、支払い済みなどで請求書を絞り込み、一覧として表示することもできます。未払いや期限を過ぎても入金がない請求書などがサッと確認できれば、すぐにリマインダーを送り、支払いを促せます。支払状況の確認作業にかかる時間もぐっと縮められるでしょう。

(4)過去の請求書や取引履歴を簡単に管理できる

クラウド請求書サービスでは、発行した日順に請求書を並べ替えるのも、特定の時期を指定して絞り込み表示するのも簡単です。大量の請求書を発行している場合、データはどんどん増えてしまい、特定のファイルが探しにくくなることもあります。クラウド請求書サービスを使えば、自分で整理をしなくても、フィルター機能などを使ってすぐに特定の請求書を見つけ出すことができます。まずは利用したいクラウド請求書サービスでフィルター検索機能などがあるかどうかは確認しておくといいでしょう。Square 請求書なら特定の日付を指定して検索することも、日付順に並べ替えることもできます。

(5)ネット上に保存される

法人または課税事業者の場合、請求書は7年間保管することが義務付けられています。個人事業主の場合は青色申告・白色申告問わず、保管期間は5年間(※)です。請求書を頻繁に発行する場合はデータ量もかさむでしょう。クラウド請求書を利用すると、すべてネット上に保存されるので、パソコンのデータ容量などを気にする必要がありません。ただし、クラウド請求書サービスに保存数の上限があるかどうかは確認しておきたいところでしょう。Squareなら上限はありません。保存期間が一定期間過ぎると削除されてしまうこともないので、安心して利用できます。

適格請求書登録事業者は課税事業者にあたります。個人事業主でも課税事業者の場合、保管期間は7年間です。

参考:記帳や帳簿等保存・青色申告(国税庁)

(6)環境にやさしい

クラウド請求書はメールで送れるので、紙を使う必要がなくなります。紙を使う量が減れば、森林を守ることができます。森林は気候変動に貢献するといわれている二酸化炭素を吸収する働きがあるといわれており、環境保護には欠かせない存在でもあります。インターネットを利用するだけでも二酸化炭素は排出されるといわれているので、どちらがいいとは言い切れませんが、少なくとも必要以上に森林伐採に貢献することは防げるでしょう。

(7)コスト削減につながる

請求書を紙で発行すると印刷代や郵送料などのコストがかかることもあるでしょう。1枚にかかるコストは数十円と少額でも、発行枚数が多ければ多いほどコストはかさみます。Squareのような無料のクラウド請求書サービスを使うと、請求書まわりにかかるコストはぐっと節約できるでしょう。できるところからコスト削減をしたいという際には、無料のクラウド請求書サービスを利用してみるのも一つの手です。

(8)会計ソフトとデータ連携できる

会計ソフトと連携できるクラウド請求書サービスもあります。連携すると、請求データが自動で会計ソフトに反映されます。自分で一つひとつ入力する手間が省けるので業務効率化に役立つのはもちろん、入力間違いなどのミス防止にもつながります。Square 請求書を使うと、freeeマネーフォワードと連携が可能です。

(9)インボイス制度に対応できる

クラウド請求書サービスの多くはインボイス制度に対応できるよう、サービスをアップデートしています。Square 請求書もそのうちの一つです。適格請求書発行事業者に登録している場合は、検討しているサービスで適格請求書が作れるかを確認しておくといいでしょう。

(10)請求書に関連する書類も作成できる

ほとんどのクラウド請求書サービスには、請求書に限らず、見積書や契約書など、取引に必要なさまざまな書類を作成する機能が整っています。一つのサービスで必要な書類を作成できると、1カ所ですべて管理できるようになり、書類の保存先が散らばることも減るでしょう。複数のサービスを使わなくてもいいことは、業務時間の短縮にもつながります。Squareにも、請求書作成機能のほか、以下の機能が揃っています。

見積書を請求書に変換することや、請求書にSquareで作成した契約書を添付することもできます。

Square 請求書なら、作成からオンライン送信まで簡単スピード対応

請求書の作成、送信、支払いまでの流れが簡単に。自動送信、定期送信など便利機能も無料。

請求書作成に使えるアプリ3選

クラウド請求書の中でも、アプリで請求書作成ができるものを三つ紹介します。

Square (スクエア)

クレジットカード決済サービスを提供しているSquareのクラウド請求書は、スマートフォン、タブレット、またはブラウザから請求書を作成し、メールで送信できるサービスです。スマートフォン、またはタブレットから利用する場合にはSquareのアプリをダウンロードします。パソコンのブラウザから作成する場合は、Squareのアカウントにログインし、管理画面から作成します。

インターネットにさえつながっていれば、オフィスでも出張先でもお手持ちの端末から請求書の作成・送信が可能です。支払い済みかどうかも、スマートフォン、タブレット、またはブラウザから確認できます。

また、支払い忘れがないようにリマインダーを送れる機能や、指定した日に請求書が自動で送信される機能、定期的な請求に使える継続課金機能、取引状況に合わせてさまざまな機能が利用できます。

無料プランでは、クレジットカード決済手数料以外はすべて無料で、月額費用や解約手数料もかかりません。iOSとAndroidの両方に対応しています。長期間のプロジェクトでは支払いのスケジュールを複数回に分けて設定したい、一つの見積書に複数パターンの見積もりを付けたいなどの場合は、有料プランのSquare 請求書プラスがおすすめです。

特徴:

  • 支払い忘れを防ぐリマインド機能がついている
  • 指定日に請求書を自動送信できる
  • カード情報保存機能を使って継続課金ができる
  • クラウド会計ソフトのマネーフォワード、freeeと連携が可能
                   利用料金 請求書の送信数
無料プラン 無料 無制限
プラスプラン 3,000円(税込)/ 月 無制限

※両プラン共にクレジットカードで決済が行われた場合、決済手数料がかかります。

Misoca (ミソカ)

Misocaは、個人事業主や法人向けのクラウド見積書・納品書・請求書サービスです。パソコンのブラウザとアプリの両方から請求書が作成できます。アプリはiOSとAndroid両方に対応しています。事業の規模に合わせて四つのプランから選べます。

前述のSquare同様、アプリから請求書を簡単に作成できます。また、1通につき160円で郵送を代行してくれるサービスもあります。

特徴:

  • 無制限で取引先を登録できる
  • テンプレートが充実している
  • 繰り返し発行する請求書は指定日に自動作成・送信できる
  • 弥生会計と連携できる
                   利用料金 請求書の送信数
無料プラン 無料 10通
プラン15 8,000円(税抜)/ 年 15通
プラン100 30,000円(税抜)/ 年 100通
プラン1000 100,000円(税抜)/ 年 1,000通

freee (フリー)

クラウド会計ソフトのfreeeでは、日々の経理から決算まで効率化する機能の一つとして、請求書作成機能も提供しています。パソコンのブラウザとアプリから請求書作成機能が利用可能です。アプリはiOSとAndroid両方に対応しています。

小規模事業者や個人事業主向けには、三つのプランがあり、いずれも30日間の無料期間があるので、試しに使ってみることもできます。

郵送代行サービスは1通につき170円(税抜)、請求先には3から4営業日で到着します。freeeで作成した複数の見積書、納品書を合算して請求できる合算機能、設定日に請求書が自動作成される定期請求機能などもあります。

特徴:

  • 請求書を発行すると自動的に帳簿付けされる
  • 銀行口座と同期しておけば入金確認を自動でできる
                   利用料金 請求書の送信数
スターター 1,480円(税抜)/ 月
11,760円(税抜)/ 年
-
スタンダード 2,680円(税抜)/ 月
23,760円(税抜)/ 年
-
プレミアム 39,800円(年払いのみ) -

※ スターター・スタンダードプランは、月払いと年払いの2種類の支払い方法があり、年払いだと数カ月分お得に利用できます。

知っておくべき!請求書にまつわる法律と規制

請求書の発行自体は法律で義務付けられていませんが、発行した請求書に関連する法は、いくつかあります。大きくは、以下の五つです。

民法

請求書の未払いトラブルなどが発生したときに参考にしたいのが、民法です。具体的には、民法166条1項1号の記述が参考になります。

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき

引用:民法 e-Gov法令検索 

いずれか経過の早いほうが時効として扱われるようです。

請求書は法的効力を持つので、何かがあったときに大事な証拠書類として機能します。ただ債権は早くて5年間で消滅してしまうことが、この記述からはわかります。期間を過ぎてからだと効力を持たなくなると留意しておきましょう。

この記事ではたびたび「請求書の保管期間が7年間」だと挙げてきましたが、この点はどの法に基づくのか、と気になった人もいたかもしれません。請求書の保管期間について言及している法は、以下の三つです。

消費税法、法人税法、所得税法

消費税法と法人税法では、請求書を7年間保存することが定められています。それぞれのあいだで異なるのは、対象者です。

消費税法は課税事業者を対象とし、法人税法はその名の通り、法人が対象になります。

補足までに、これまでは取引先が発行した請求書さえあれば、課税事業者は仕入税額控除の適用(※)を受けることができました。ところが、2023年10月以降はインボイス制度の開始に伴い、取引先に適格請求書を発行してもらわないと、仕入額控除の適用が受けられなくなりました。インボイス制度については「インボイス制度とは?仕組みや対応方法を図解付きで分かりやすく解説!」の記事から詳しく知ることができます。

※ 販売時に預かった消費税から仕入れ時に支払った消費税を引いた差額分だけを納付すればよく、仕入れにかかる消費税が控除されるという仕組みです。

所得税法は、白色と青色申告をしている個人事業主などが対象になります。所得税法に関しては、請求書の保存期間は5年間と定められています。ただし、個人事業主でも課税事業者の場合は7年間になります。適格請求書発行事業者として登録している個人事業主は課税事業者になるので、この場合は7年間保管しておかなければいけません。

参考:個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について(国税庁)

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法も請求書の発行に関連します。国税に関係する書類を電子保存する際の手続き方法などが定められている法なので、クラウド請求書サービスを利用する際には把握しておきたいところでしょう。

支払い遅延への対処法

請求書の取引で心配になることといえば、支払い遅延です。支払いの受け取りが遅れてしまうと、手元の資金が不足し、今度は仕入れ先や給与の支払いが予定どおりにできなくなるかもしれません。仕入れ先への支払いが遅れてしまえば、取引先との信頼関係にヒビが入ってしまう可能性があります。手元の資金が潤沢なのが何よりも理想的ですが、受け取るべき支払いを期限どおりに受け取ることも資金繰りにおいては大切なことです。

万が一支払いが遅れているとわかったら、一刻も早くリマインダーを入れて支払いを促しましょう。近年ではメールなどでお知らせすることも増えてきたかもしれません。

しかし、そもそもどの請求が遅延しているかが把握できていなければ、リマインダーを速やかに送ることもできないでしょう。

Square 請求書なら支払期日と、自動リマインダーを送信する日程を請求書作成時に設定しておくことができます。

jp-blog-invoice002

▲リマインダーの設定画面

リマインダーは支払期日前、支払期限当日、支払期日後と必要な分だけ送信されるよう設定しておくことができます。リマインダーは誰かが手を動かさずとも自動で送られるので、どの請求が期限超過しているかを確認し、リマインダーを送るという作業をいちいちしなくてもよくなります。

送信した請求書のうち支払い済み・未払い・期限超過で絞り込んで一覧することもできるので、状況把握も簡単です。またリマインダーを設定し忘れた場合は、Square 請求書の管理画面からマニュアルで送ることもできます。ここまで紹介した機能はすべて無料(※)で使えるので、クラウド請求書の導入を検討している際にはぜひ試してみるといいでしょう。

利用に必要なのは、無料のアカウントだけです。月額利用料も発生しないので、まずはアカウントを作成のうえ、使い心地を試してみるといいかもしれません。

※請求書を受け取ったお客さまがクレジットカードで決済をしたときにだけ、決済手数料が3.25%かかります。

▶︎Squareの無料アカウントを作成する

以下の動画では、Square 請求書のおおよその作成方法を確認することができます。ぜひご参考ください。

スマートフォンを使ったクラウド請求書を導入することで、これまで請求業務に費やしていた時間や手間を削減して、他の業務に使えるようになります。これを機に、請求業務の効率化を検討してはいかがでしょうか。

おすすめ記事


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2019年3月1日時点の情報を参照しています。2023年11月20日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash