ビジネスを行う上で、お金のやり取りを証明するための書類(証憑書類)である領収書がいかに重要であるかはこれまでの記事でも何度かお伝えしてきました。
仕事で使う事務用品や書籍を購入したとき、支払った金額を会社経費で落とすためには、領収書の発行が必要です。取引先との食事会や従業員向けの研修などでかかるお金を経費として請求するためにも領収書が必須です。
発行された領収書は、経理担当者などによって回収され、内容を確認した後、会社経費の使われ方が分かるように分類され、記録・管理されるのが一般的です。代金を立て替えた従業員などがいれば、給与支給時に含めるなどして清算します。
ここで重要なのが「領収の内容を確認する」作業です。領収書の内容の信憑性をきちんと確認した上で経費の計上・清算を行わないと、ずさんな管理に繋がるだけでなく、過大請求や横領などの不正行為を見落とす原因にもなりかねません。領収書には、仕事のために本当に必要な支払いが適切な目的を持って行われたことが分かる要素が含まれている必要があり、後の経理処理の効率化のためにも、領収書を発行する側も受け取る側もこれを常に意識していなければなりません。
また、確定申告や税務調査が入る場合など、書類の内容に不備があると領収書として認められない場合があります。経費計上ができずに税金を余計に支払うことなどがないように、正しい書き方を身につけておきましょう。
目次
領収書に必要な項目
一目で領収書と分かるように
当然のことのように聞こえますが、領収書を手書きで発行している場合や、特別なフォーマットを設けていない場合など、案外おざなりになってしまうのがタイトルです。書面の上部中央に、フォントサイズや太さを工夫して「領収書」と目立つように表記しましょう。
請求書や契約書なども、領収書のようにお金のやりとりを証明する証憑書類に該当します。これらの書類と混同することなく一目で領収書と分かるように、タイトルを強調させましょう。
発行日は年月日で書く
領収書が発行された日付が分かるようにします。後になって、いつ、どのような出費があったかを把握するためには必須の項目です。領収書は、ほとんどの場合、7年以上の保存義務が法律で定められています。したがって、発行日には西暦や和暦などを含めてどの年のものかが分かるようにする必要があります。
もし、領収書を受け取る立場にいて、領収書の発行元が月日だけを記入していたら、発行年も含めるように一言かけるなどして記入漏れを防ぎましょう。
会社名などは正式名称で
宛名欄には、代金を支払った者(領収書を受け取る側)の名前を書きます。個人名であれば氏名を、会社名であれば正式名称を略さずに書くことを心がけましょう。領収書の発行を依頼されたら、「宛名はどうなさいますか」と相手に確認してから書くようにしましょう。会社によっては、領収書に関するルールが異なるかもしれないので、受け取る側の要望に合わせて記載するようにします。
飲食店などでは、お店の運営で忙しく、領収書を丁寧に書くことは難しいかもしれませんが、重要な書類であるということを意識して、「(株)」という表記を避けて「株式会社」と書くなど、できる限り正確な情報を記入するようにしましょう。
「上様」は使えない?
よく宛名に「上様」と書かれている領収書を見ることがあると思います。領収書の宛名を聞かれた時に、意味も分からず「上でいいです」と答えてしまったこともあるのではないでしょうか。
この「上様(うえさま・じょうさま)」の由来には諸説あります。古くから将軍や貴人などの目上の人を「上様」と呼んでいたことに由来しているという説や、お得意客を意味する「上客(じょうきゃく)」や「上得意(じょうとくい)」の略であるという説もあります。
いずれにせよ、領収書の宛名が「上様」では、誰が支払ったのかということが分かりません。複数の従業員から領収書を回収・管理する会社では、不正行為を防止するためにも、必要な情報が不足しているということから、「上様」の使用を禁止する場合が多いようです。経費の清算が認められなかったり、税務調査や確定申告で領収書として認められず、経費計上ができないということもあり得ます。
しかし、金額が3万円未満である場合や、小売業など政令で定められた事業に該当する場合は、領収書の宛名を書かなくてもよい場合があります。(消費税法)
とはいえ、後から領収書を見たときに支払い者が誰であるかなどが分かるように、「上様」のような記述は極力避け、常に正式名称を記入することが好ましいです。
金額の書き方で改ざん防止
商品やサービスの代金として支払われた金額を記入します。経費に計上される金額でもあり、従業員などに対して清算される金額にもなるので正しい金額を記入することはもちろん、後から数字を追加したりして金額を変えられないように工夫する必要があります。
例えば、金額の先頭に「¥」や「金」といった記号や文字を記入し、数字の追加ができないようにします。同じ目的で、数字の末尾に「−」や「也」を追加します。他にも、0を入れて桁数を増やしたりされないように、3桁ごとにコンマを打つようにしましょう。
コンピューターなどを使って作成・印刷された領収書に比べ、手書きで作成された領収書は改ざんされる確率が高いです。そこで、アラビア数字を使う代わりに「壱」「弐」「拾」といった複雑な漢字を使うことも不正利用防止策の一つになります。
但し書き
但し書きとは、領収書の金額が支払われた用途を説明する部分です。通常、「但、○○代として」と記載します。よく「お品代として」という表記を見かけますが、これでは何を購入したのか、または何に対する支払いなのかが分かりません。
領収書を発行する場合は、相手から特定の要望がない限り、「飲食代として」や「書籍代として」などのように、なるべく具体的な記入するようにしましょう。
また、領収書を請求する場合は、会社によっては経理処理目的のために但し書きルールを定めていることがあるので、これを意識して記入を依頼しましょう。
領収書発行者を明らかにする
最後に、商品やサービスと引き換えに代金を確かに受け取ったということを証明するために、領収書を発行した者の氏名または名称を記入します。あらかじめ発行者の氏名または名称を記入した領収書のテンプレートを準備しておくといいでしょう。
領収書発行者の氏名や名称に加えて、住所や連絡先などの基本情報を入れることが好ましいです。また、必須ではありませんが、事業者の印鑑や社印などを領収書に押すことで、その文書が正式なものであり重要であることの証明に役立ちます。場合によっては、印のある領収書を受理の条件に含めている会社もあるようです。
印紙税
印紙税法により、金額が5万円以上の領収書は課税対象になります。領収書の発行者は、記載金額ごとに定められている金額の収入印紙を領収書に貼り付け、印紙と紙面とにまたがるように割印をして納税します。
収入印紙について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
レシートと請求書の違い
最近のレシートは、細かい会計内訳や正確な日時、店名や住所など様々な情報が記載されています。商品の個数や単価なども分かり、領収書の但し書き欄よりも具体的で情報量が多い場合もあります。領収書発行者の情報と但し書き欄があるという点においては、レシートも領収書として取り扱うことができます。
しかし、ほとんどの場合、レシートには宛名が書かれていないので支払い者が誰であるかということが明確になりません。前述の通り、宛名が無くても領収書として認められる場合もあるので、領収書発行を原則とした上で、使い分けられるようにしておきましょう。
SquareのPOSレジなら、会計後の画面で「領収書を印刷する」をタップするだけで、金額や事業者名、宛名や但し書きの記入欄など必要な情報が印字された領収書が印刷されます(※)。もちろん、収入印紙を貼る余白もあります。領収書を手書きで用意する必要はありません。
※インボイス制度に対応した領収書の出力が可能です。詳しくはこちらをご確認ください。
おすすめ記事
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2017年12月4日時点の情報を参照しています。2023年10月6日に記事の一部を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。