課税証明書とは?見方、コンビニや郵送で取得する方法
課税証明書は、住宅ローンや奨学金などの審査、各種手当や給付金の申請など生活のさまざまな場面で必要となります。この記事では、課税証明書とは何か、どんな書類で何が記載されているのか、どこで取得できるのかを詳しく解説します。
課税証明書とは?
課税証明書は、申請者の1年分の所得額や扶養の状況、住民税額などが記載された書類で、住所地のある市町村役所で取得できます。申請する年度の翌年1月1日時点に住所地がある自治体から発行される公的な証明書で、自治体ごとに名称や様式が異なります。
名称の例…課税証明書、所得証明書、所得・課税証明書、市民税・県民税課税証明書
課税証明書の取得を求められる主なケース
課税証明書を利用する目的は、児童手当や奨学金の手続き、ローン審査など、生活する上で必要な申請のために「年間の所得金額と課税額を証明する」ことです。課税証明書が必要になるケースには、以下のようなものがあります。
・児童手当の申請
・保育園や学童保育の申込み
・奨学金の申請
・住宅購入のローン審査
・公営住宅や賃貸マンションの入居審査
・児童手当の申請
児童手当は中学校卒業までの児童を養育している保護者に支給されます。申請は各自治体で行われるため通常は認定請求書の提出のみで済みますが、転入などの理由で自治体が状況を把握できていない場合は、保護者の所得を証明できる課税証明書の提出を求められる場合があります。
・保育園や学童保育の申込み
保育園や学童保育を申込む際も住民票のある自治体であれば特に必要ありませんが、別の地区から転入などの場合、課税証明書の提出を求められることがあります。
・奨学金の申請
奨学金の申請時には、経済状況を把握するために生計維持者の収入に関する証明書の提出が必要です。奨学金の種類によりますが、会社員の場合は直近の源泉徴収票や課税証明書の提出、個人事業の場合は確定申告書などの提出を求められます。
・住宅購入などのローン審査
住宅購入や車両購入などでローンを組む場合、返済能力があるかどうかを確認するために金融機関が指定する所得の証明が必要です。
・公営住宅や賃貸マンションの入居審査
公営住宅の場合は所得制限を設けているので所得の証明が必要です。また、賃貸マンションの入居審査にも家賃の支払い能力を判断するため、収入に関する証明書が必要になることがあります。
所得に関する証明書は数種類あるため、具体的にどの書類が必要なのか確認してから手続きを進めましょう。各証明書類の違いについては、『課税証明書と非課税証明書・所得証明書・納税証明書・源泉徴収票の違い』の項で解説しています。
【参考ページ】
リーフレット「児童手当」(令和4年度版)|内閣府
申込みに必要な書類:練馬区公式ホームページ
収入に関する証明書類及び所得の入力方法について | JASSO
課税証明書の見方
課税証明書は自治体によって様式が異なりますが、所得を証明するための書類なので記載されている項目はおおよそ同じです。ここでは課税証明書の見方について、記載されている項目ごとに説明します。
記載されている項目
・合計所得金額
・所得の内訳
・所得控除の内訳
・控除対象扶養人数
・課税標準額
・税額内訳
項目 | 内容 |
---|---|
合計所得金額 | 収入から必要経費を差し引いて算出された給与所得や不動産所得、事業所得などを合計したもの |
所得の内訳 | 給与の場合は給与収入として記載。給与以外の事業所得や不動産所得などは項目別に記載 |
所得控除の内訳 | 基礎控除のほかに社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除などがある場合に記載 |
控除対象扶養人数 | 控除対象配偶者は「有」もしくは「無」で記載、そのほかの扶養人数を記載 |
課税標準額 | 所得金額から所得控除を差し引いて算出された「課税の対象となる金額」を記載 |
税額内訳 | 市民税・県民税それぞれの所得割額と均等割額を記載 |
各自治体の窓口で課税証明書を取得する方法と必要なもの
課税証明書を取得する方法はいくつかありますが、ここでは窓口で取得する方法と取得の際に必要なものについて解説します。
自治体の窓口で課税証明書を取得する方法
自治体の窓口で取得するには申請書に必要事項を記入し、手数料を支払って発行手続きを行います。本人、または代理人の身分証明書が必要なので準備しておきましょう。
窓口で課税証明書を取得するために必要なもの
・課税証明書の交付申請書(名称は自治体によって異なります)
・身分証明書…運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カードなど
・手数料…1通あたり300円程度(自治体によって異なります)
・代理人が申請する場合は申請者の委任状
窓口で取得する場合の注意点
課税証明書は1月1日時点で住所のある自治体で取得できます。1月2日以降に転入した場合は、それ以前の住所地の自治体に申請する必要があります。
取得に関しては、ほかにもいくつか注意点があります。
⑴本人以外が窓口に出向く場合
⑵本人確認の方法
⑶申請書の記入方法
⑴本人以外が窓口に出向く場合
課税証明書は原則として本人以外は取得できませんが、同一世帯で生計を一とする親族の場合は委任関係が認められ、取得できる自治体もあります。
ただし、生計が同じであっても世帯が別の場合は委任状が必要です。詳しくはこちら(H2:課税証明書を本人以外が取得する際の注意点)で解説しています。
⑵本人確認の方法
窓口での身分証明書の提示は一点で良いものと二点必要なものがあります。
一点でよいもの
・マイナンバーカード(個人番号カード)
・運転免許証
・パスポート(旅券)または写真付きの住民基本台帳カード
・在留カードまたは特別永住者証明書(外国人登録証明書)
二点必要なもの
・年金手帳
・介護保険被保険者証
・健康保険被保険者証
・写真なし住民基本台帳カード
⑶申請書の記入方法
「どなたの証明が必要ですか」の欄に課税証明書を請求したい本人の情報を記入します。代理人の場合は「委任者との関係」についても記入しましょう。
申請する証明書、世帯や個人などの区分、使用目的など該当するものにチェックを付け、「何年度分が何通」必要なのかを記載します。不明な場合は窓口の担当者に確認すれば間違いないでしょう。
【参考ページ】
本人以外の人が課税証明書を取ることができますか? 横浜市
税務証明発行の際、窓口での本人確認を行っています! - 下関市
郵送で課税証明書を取得する方法と必要なもの
課税証明書を窓口で取得する場合は自治体の窓口受付時間内のみとなりますが、郵送で取得する方法もあります。
郵送で課税証明書を取得する方法
郵送の場合も、窓口の取得と同じように証明書交付のための申請書類に必要事項を記載します。
郵送で課税証明書を取得するために必要なもの
・課税証明書の交付申請書(名称は自治体によって異なります)
・身分証明書…運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、顔写真付き住民基本台帳カード、健康保険被保険者証などの写し(自治体によって異なります)
・送料分の切手を貼付した返信用封筒
・手数料…1通あたり(300円程度)手数料分の収入印紙や郵便定額小為替証書(自治体により異なります)
郵送で取得する場合の注意点
・申請書用紙は各自治体の窓口か、ホームページからダウンロードして記入する
・どの身分証明書が有効か、一点のみ、二点必要なども確認する
・手数料の金額や支払方法は自治体に確認する
・送付までに数日かかるので注意が必要
・切手を貼った返信用封筒を入れ忘れると郵送されないことがある
コンビニで課税証明書を取得する方法と必要なもの
キオスク端末(マルチコピー機)を設置しているコンビニでも課税証明書を取得できます。書類を書く手間がなく、窓口や郵送での取得よりも手数料が安いので、マイナンバーカードを持っている人にはおすすめの方法です。
コンビニ交付利用前の準備
・住所のある自治体がコンビニサービスを提供しているかを確認する
・マイナンバーカードまたは住民基本台帳カードを取得している必要がある
コンビニで取得するために必要なもの
・マイナンバーカード
・手数料(1通あたり200円)
コンビニ取得のやり方と注意点
・最寄りのコンビニにキオスク端末(マルチコピー機)があるか確認する
・マルチコピー機のメニュー「行政サービス」ボタンから利用開始
・暗証番号四桁(利用者証明書用電子証明書)が必要
・証明書種別、本人・世帯の種別、記載事項の確認、必要部数などを確認しておく
・市区町村によっては利用時間が制限されている場合がある
・マイナンバーカードの取り外しを忘れないように注意する
キオスク端末の詳しい操作方法はこちらからご確認ください。
課税証明書はいつから取れる?
課税証明書の発行時期は特別徴収(給与収入で給与から差し引き)と普通徴収(自営業など自分で住民税を納める)の場合で異なります。
・特別徴収の場合は、5月10日前後から取得可能(税額通知書の発送時期)
・普通徴収の場合は、6月10日前後から取得可能(納税通知書の発送時期)
ただし、特別徴収の人でも給与以外の所得があり普通徴収でも課税される場合は、納税通知書発送後(6月10日前後)でなければ発行ができません。また、普通徴収の場合は、3月15日までに確定申告または住民税申告が完了している必要があります。
【参考ページ】
当該年度の課税証明はいつから取得可能ですか?/荒川区公式サイト
港区ホームページ/新しい年度の住民税(特別区民税・都民税)課税(非課税)証明書・納税証明書はいつから取れますか。
令和5年度の市民税・県民税課税(非課税)証明書はいつから取得することができますか? 横浜市
課税証明書と非課税証明書・所得証明書・納税証明書・源泉徴収票の違い
課税証明書は1年間の所得や住民税額を証明する書類ですが、所得や税額を証明する書類はほかにもあります。ここでは、課税証明書以外の所得・税額に関する書類について解説します。
非課税証明書とは
非課税証明書は、課税証明書とは逆に所得や所得控除の状況により「住民税が課せられていないことを証明する書類」です。世帯全員が非課税であれば住民税非課税世帯となり、保育料の無料化や高等教育機関の就学支援、臨時特別給付金などの対象になります。
所得証明書とは
所得証明書は、自治体が発行する「所得額が記載された書類」のことです。1年間の収入から必要経費を差し引いた金額が所得額で、各自治体が住民税を計算する際の基準となります。所得証明書は収入を証明する公的な書類として、住宅ローンや賃貸住宅などの申し込み時に提出を求められることがあります。
納税証明書とは
納税証明書とは「納付すべき税額や納付済み税額、未納税額などが記載された書類」のことです。税金の種類ごとに証明書があり、発行依頼先もそれぞれ異なります。
◎ 納税証明書の発行依頼先
・確定申告をした場合の所得税、消費税 ⇒税務署
・住民税、国民健康保険税 ⇒市区町村
・自動車税 ⇒都道府県
税務署で発行される納税証明書は以下画像のとおりで、e-Taxで交付請求が可能です。
画像引用:納税証明書の交付請求について | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
源泉徴収票とは
源泉徴収票は、会社員など給与所得のある人が勤務先から配布される書類のことで、年間の給与額・所得控除の額・納付した所得税額などが記載されています。毎月の給与額から源泉徴収された所得税額と、実際に納付すべき所得税額の差分を調整する年末調整の計算後(12月後半~1月末)に発行されます。
【参考ページ】
G-1 納税証明書の交付請求手続|国税庁
課税証明書を本人以外が取得する際の注意点
課税証明書は、本人または同一世帯の親族であれば取得可能ですが、世帯が異なる同居親族や、それ以外の代理人が請求する場合は「本人直筆の委任状」が必要です。
委任状の提出とともに委任状の代理権限の確認と代理人の本人確認を行う必要があります。本人確認書類については、こちら(H2:各自治体の窓口で課税証明書を取得する方法と必要なもの・窓口で取得する場合の注意点⑵本人確認の方法)をご確認ください。
ただし、委任状の様式や有効期限など自治体によって異なる場合があるので、あらかじめ確認しておきましょう。
課税証明書を発行できない理由と対処法
課税証明書が発行できない場合は以下の理由が考えられるので、早急に対応が必要です。
考えられる理由
・前年の1月1日以降に転入した
・前年1月1日以降に転出して再び転入した
・対象年度の収入情報がない(確定申告をしていない)
・前年の収入がなかった
・住民票の住所と実際の居所が違うため、他の自治体で課税されている
対処法
・前年1月1日に住所があった自治体で発行する
・コンビニで取得できない場合は窓口で申請する
・収入がない場合は非課税証明書が発行可能
・収入はあり確定申告をしていないなら速やかに行う
・課税されている自治体がわからない場合は問い合わせる
【参考ページ】
本人以外の人が課税証明書を取ることができますか? 横浜市
【コンビニ交付】前年度の所得証明が取得できません。 | FAQ(よくある質問) | 生駒市公式ホームページ
所得証明書が発行できませんと役所に言われましたがどうしたらよいでしょうか? | 富士通健康保険組合
課税証明書に関するよくある質問
課税証明書とは、その年の1月1日時点に住所地がある自治体で取得できる公的な証明書で、申請者の1年分の所得や扶養の状況、住民税額を証明する書類です。ただし、自治体ごとに名称や様式が異なるので注意が必要です。
コンビニで課税証明書が取得できない理由は以下のことが考えられます。
・前年の1月1日以降に転入してきた
⇒前年の1月1日に住所のあった自治体で発行できます・対象年度の収入情報がない
⇒収入があったが申告の手続きが完了していない⇒申告が必要
⇒住民票と実際の住所が異なるため他の自治体で課税されている⇒他の自治体で発行可能・コンビニで課税証明書を発行していない自治体である
⇒市区町村の窓口に行く必要があります課税証明書は、1年間の所得や住民税額を証明する書類です。一方、所得証明書は1年間の所得額のみが記載された書類です。所得額とは、1年間の収入から必要経費(会社員の場合は給与所得控除)を差し引いた金額で、各自治体が住民税を計算する際の基準となります。
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